プミポン国王の死去から一週間の間に、不敬行為を働いたとされる人々が暴行・弾圧を受ける事案がタイ各地で発生している。これらの行為に対し、タイ軍事政権は国王への哀悼の意を巡って起こる事件や不敬行為に対し、不敬罪と私刑を両方取り締まるとの立場を示した。

今回もKhaosod Englishから、10月20日16時48分に公開された、タイ政府、不敬罪の取締りを強化「私刑は認めない」という記事を翻訳してお届けする。

なお、記事の翻訳・転載にあたっては、すべてKhaosod Englishより正式に許可をいただいている。 

以下、転載。

タイ政府、不敬罪の取締りを強化「私刑は認めない」

バンコク:タイ軍事政権は国王の死去以降、国王への哀悼の意を巡って起こる事件や不敬行為に対し、不敬罪と私刑を両方取り締まるとの立場を示した。

プミポン国王の死去から一週間の間に、不敬行為を働いたとされる人々が自警主義者によって暴行・弾圧を受ける事案が少なくとも6件発生している。政府は自警主義を擁護しない一方で、不敬罪の取締りを強化すべく方策を立てているとの立場を明らかにした。

政府報道官のサンセーン・ケウカムナード氏によると、プラユット暫定首相は国民に対し、争いの扇動や不適切な言動に対する私刑行為をせず、その代わりにそのような事案が確認された場合は当局に通報してほしいと訴えているという。

プラウィット・ウォンスワン副首相も私刑行為を控えるよう国民に求めた。「容疑者の懲罰は国民ではなく国の役割で、これは法に基づいて為されるべきだ」

先週金曜日にプミポン国王を侮辱したとされるFacebookユーザーの逮捕を求めてプーケットで暴動が起こって以降、タイ全土で複数の暴行事件が起こっていることを受けての発言とみられる。

また今回の政府からの発表の背景には火曜日のパイブーン・カムチャヤ法務大臣による無法状態を容認するような発言もあったようだ。「プーケットの事件はタイの人々によるこれ以上我慢できないという気持ちが表面化したものだ。社会的制裁以上に良い方法はない」

この発言は直ちに批判を浴び、パイブーン氏は翌水曜日、「行き過ぎた行動には社会的な制裁が必要だと考えているという意味で、暴動その他の犯罪を容認するつもりはない」と訂正した。

パイブーン大臣は火曜日に言及した”社会的制裁”という言葉について「法規制だけでは人々の態度は変わらない。投獄されただけで考え方や態度が矯正されると本当に思うのか。(暴動行為を働く人達は)このように考えている」と述べている。

パイブーン氏はタイ王室に対する不敬罪の容疑者19名が滞在しているとされる7カ国の大使へ容疑者の現住所を明記した書面を送り、各国政府に対してこれらの容疑者検挙に協力するよう求めた。

プミポン国王の死後7日間で、警察は刑法112条の不敬罪にあたるとされる12人の容疑者を特定した。タイ国家警察のチャクティップ・チャイジンダー長官はこのうちの2名を検挙したと発表したが、詳細については明らかにされていない。

法規制に加え、各政府機関も不敬罪の取り締まりに対する協力を求められており、法務省の特別捜査局や最近創設されたMDES(訳者注:Ministry of Digital Economy and Society、情報技術・通信省が今年9月に組織再編された)が捜査に関わっている。

プラジン副首相によると、MDESが24時間のウェブサイト監視体制を敷いて以降、約60件の不適切なウェブサイトが発見され、この中の35%が閉鎖されたという。

国家平和秩序維持評議会布告26号に基づき、政府は国民に不安や政権への批判を煽るウェブサイトを司法手続き無しに閉鎖できる。副首相によると、司法手続き無しでも15日は通常かかると言われる期間を「できるだけ早めようとしている」という。