BTSサイアム駅やサイアム・パラゴンでおなじみの「SIAM」。
恥ずかしながら、僕は6年前にタイに移住して来るまで、この「SIAM」がタイの旧国名である「シャム」を表わしているということを知らなかった。
SIAMという単語は古くは1050年まで遡ることができると言われているが、SIAMが正式な国号となったのは、1855年にタイ英間でボーリング条約が締結された時である。
そして、タイの歴史上大きな転換点となった1932年6月24日。この日、欧州留学帰りの将校や文官を中心とする人民党による立憲制を求めるクーデターが成功し、150年にのぼるチャクリー王朝国王による専制政治が終焉した。この立憲革命から丸7年目となる1939年6月24日の革命記念日に、時の首相ピブーンは、国名を「シャム」から「タイ」へと変更したのである。
時は第二次世界大戦の開戦前夜。世界は帝国主義とナショナリズムに包まれていた。ピブーンは、国家の基盤となるナショナリズムを醸成するための手段のひとつとして、国名を変更したとされている。

さて、前置きが長くなってしまったが、なぜこんな話をしたかと言うと、まだタイがシャムと呼ばれていた頃に、タイ国内で撮影された貴重な写真の数々が初公開される写真展が開催されているのだ。
この写真展は、「UNSEEN SIAM」と題して、1860年〜1910年の間に宮廷写真家によって撮影され、海外で保管されていた美しきタイの写真約150点が展示されるもの。当時の王様(ラマ4世、5世)やロイヤルファミリー、街並み、寺院や建築、催事などの様子を観られるのは大変貴重な機会である。
これは絶対に行かねば!ということで、昨日このUNSEEN SIAMに行ってきた。今回は簡単にそのレポートをお届けしたい。

この記事の目次


会場は、BTSナショナルスタジアム駅前のBACC

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UNSEEN SIAMの会場は、BTSナショナルスタジアム駅前にある「Bangkok Art & Culture Centre(BACC)」の9階となる。

9階に行くには、まずは5階まで上る。途中の4階には、以前この記事でご紹介したドリアンアイスクリームがある。5階のインフォメーションで荷物をロッカーに預けてから、エレベーターで9階へと向かう。

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5階のインフォメーションでロッカーの鍵を受け取る

UNSEEN SIAM

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9階のワンフロアすべてがUNSEEN SIAMの会場である。カウンターでは、UNSEEN SIAMの写真集も販売している。(英語版、タイ語版各1800B)

unseen siam早速、会場へ入ってみよう。
会場はそれぞれ、以下のテーマに分かれて展示されている。

  • Daily Life Rivers and Khlongs
  • Architecture: Temples and Palaces
  • Siamese Dance-Drama
  • Siamese Elephants
  • Women
  • Royal Ceremonies and events

それでは、それぞれのテーマに展示されている写真を少しずつご紹介しよう。

Daily Life Rivers and Khlongs

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バンコクのワット・サケット(ゴールデンマウンテン)からバンランプー運河方面の眺め

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ワット・アルンからチャオプラヤー川(南方向)の景色

Architecture: Temples and Palaces

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タイで最も有名な仏足石があるサラブリー県の第一級王室寺院ワット・プラ・プッタパート

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ワット・ポーで写生をするヨーロピアン

Siamese Dance-Drama

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25人の少女による舞踊団

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Rat Klao Praewをかぶった少女のダンサー

Siamese Elephants

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王宮で象に乗る王子を傍らで見守るチュラロンコン大王(ラマ5世)

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川を渡る象。現在でも見ることができる光景だ

Women

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1863年に撮影された色香漂うタイ女性

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笑顔が美しい若いタイ女性

Royal Ceremonies and events

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1896年5月にシンガポールを訪れたチュラロンコン大王とロイヤルファミリー

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1905年にタイで初めてカーレースが開催された際の写真

以上、UNSEEN SIAMで展示されている歴史的な写真のほんの一部をご紹介した。なお写真はすべて許可を得て撮影している。
現在と比べて大きく変化している景色もあれば、それほど変わっていないと感じるものもあった。ぜひ、ご自身の目で古き良き美しいシャムの姿をご覧いただきたいと思う。
UNSEEN SIAMの詳細は以下のとおり。

UNSEEN SIAM

  • 日時:2016年9月9日(金)〜11月7日(月) 10時〜21時 月曜休
  • 場所:9th Fl. Bangkok Art and Cultural Center(MBK向かい)
  • 料金:無料
  • 電話:0-2214-6630
  • HP:http://www.bacc.or.th/
BACC地図

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