プミポン前国王の国葬を今月下旬に控え、反体制勢力による葬儀への妨害活動が発生する可能性があると、タイ政府より注意喚起が促され、4日には在タイ日本国大使館からも緊急一斉メールが配信された。

具体的にどのような妨害活動が計画されているのか、日本語ではほとんど情報がない。我々在住者だけでなく、今月タイ・バンコクへの訪問を予定している方も、不安を感じている方も少なくないだろう。

そこで本日より、タイ大手英字メディア「Khaosod English」からプミポン前国王の葬儀に関するニュースを翻訳して配信する。

1年前、プミポン前国王が崩御した際にもKhaosod Englishのニュースを翻訳して配信したが、多くの読者から「日本語では得られない最新情報を取得できて、とてもありがたかった」という声をいただいた。

なお、記事の翻訳・転載にあたっては、すべてKhaosod Englishより正式に許可をいただいている。

今回は、10月4日(水)11時04分に公開された「反体制勢力が計画している国葬に対する妨害活動」に関する記事をお届けしよう。

以下、転載。

赤シャツ過激派、国葬の妨害を画策

バンコク:故プミポン前国王の国葬に対する妨害活動についての注意喚起が政府によってされたが、この背景には数日前からの赤シャツ過激派の動きがあったことが判明した。

タイ政府は2日月曜日、国葬の妨害活動が発生する可能性があると国民に注意喚起を呼びかけたが、根拠が無いなどとの批判を受けていた。しかし実際に複数の反体制派活動家が一週間前の9月27日、嫌がらせによる国葬妨害を呼びかける動画をYouTubeに投稿していたことがわかった。

「10月26日はベストのタイミングだと思う」”カオニャウ(もち米)同志”を名乗る男が動画中、国葬の日程を示してこのように語っている。「ただもし26日以前から始めたいということであればそれでもいい。ルールに反するわけじゃない」

この男と一緒に動画に映る”サナームルアン(王宮前広場)おじさん”を名乗る男は具体的な嫌がらせの方法について例を挙げた。

不敬罪に抵触する可能性があるためカオソッドイングリッシュでは詳細の描写は差し控えるが、ここで挙げられている方法のひとつとして、タイの各地方政府が住民のために設置する国葬会場のトイレを全国規模で詰まらせるというものがあり、暴力や破壊を伴う活動には触れられていない。

「紙ナプキンで地方会場のトイレを全部詰まらせるべきだという話も出た」前述の”おじさん”は言う。「だがこれはあくまで提案だ。私は他人をけしかけているわけじゃない。とはいえ誰かがこういうことをしようとしても私に止める手立ては無い」

国葬は反体制派幹部が一同に会する貴重な機会だと男は言う。「彼ら(過激派幹部)は人集めに数百万バーツを費やしている。我々を支援するためだ」

この動画配信は「アンダーグラウンド赤シャツラジオ」と呼ばれる国外逃亡中の反体制活動家ネットワークの活動の一部とされる。彼らは自らを赤シャツと呼ぶものの、思想や活動内容は赤シャツグループの大多数を占めるタクシン元首相の支持母体とは大きく異なる。

27日の動画ではタイ国内から掛けているという女の通話音声も紹介された。女は反体制派が行動が起こす時が来たと言う。

「今この瞬間、私たちはあらゆる準備を進めている。この機会を活用しないと・・・この機会に行動を起こさないと・・・。10月26日に何かが起こる」身元不詳の女はこう語り、まだ「準備」が残っており時間が無いと断りを入れて通話を終えた。

国外逃亡中で赤シャツ過激派の動向に詳しい研究家によると、このような動きはネットワークラジオ上で一ヶ月程度前から広がりを見せているという。軍事政権によって指名手配されているこの元タマサート大学の歴史学者は「一連の動きは軍事政権にストレスを与え(注意喚起という)行動を起こさせた」とする。

「NCPO(タイ国家平和秩序維持評議会)による国民への注意喚起は、彼らがこの動きを本気で警戒していることの表れだ」タイ軍事政権が自らの呼称として好んで用いるNCPOという表現をあえて使い、こう述べた。

2日月曜日、政府高官は国葬を妨害する動きを察知したことを国民へ発表した。「政府は国葬期間中に国内外からこれを妨害しようと画策するグループがいることを確認した。我々は王室制に異を唱える人々によるあらゆる妨害行動を阻止しなければならない」プラウィット副首相兼国防相はこのように記者団に述べた。

国外逃亡中の王室批評家、ニチワット・ワナシリーは、過激派組織が糞尿を国葬会場に撒くといった一種の“象徴的な”嫌がらせを計画していると耳にしているとする一方、暴力的行為の計画については聞いていないという。

「一定数の人々が誰にも気づかれないようにこういった嫌がらせをするかもしれないが、表立っての行動というのは無いと思う。ただ何らかしらの行動が起こったとしても政府や軍が簡単に処理できるようなレベルで、暴力を伴うのではなくイメージダウンを狙うものに過ぎないはずだ」ニチワットはオンラインメッセージでこのように語った。

真意の程は定かではないが、9月27日の動画では銃火器の使用もほのめかされている。

「中国の文化大革命では太陰暦の祝日が選ばれた。爆竹の音で銃声を誤魔化せるからだ。人々は銃声を爆竹と勘違いした。国葬の日は多くの人が集まる。我々もそこにいる。どういうことになるか?」”サナームルアンおじさん”はこう述べる。
暴力行為についての言及はこの動画以前からあったとニチワットは言う。赤シャツ活動家の中でも最も過激とされるゴ・ティーは、謎の失踪を遂げる以前、国葬の妨害のため武装グループを組織し殺人行為に及ぼうと公に活動していたという。「だがゴ・ティーはいなくなった。できるのは嫌がらせ行為くらいだ」

国外の赤シャツグループの動向を注視する前述の元タマサート大学教授は、暴力的行為が発生する可能性は非常に低いとする一方、動画に触発された視聴者が何らかの行動を起こすことを危惧している。

さらにこの元教授によると、“サナームルアンおじさん”は講演を開催すれば簡単に2000人を越える聴衆を集められる程の影響力を持った人物で、支持者は国葬で行動を起こそうとますます本気で議論するようになってきているという。

批評家のニチワットは国外逃亡中の活動家のすべてが国葬の妨害に同意しているわけではないと念を押す。この日に行われるあらゆる妨害行為は政府当局を刺激し、既に大幅に強化されている不敬罪の取り締まりを更に熾烈なものにする可能性が高いという。

「個人的な意見を言わせてもらえば、こんなことをしても失うものが大きい割に得るものはない」