昨日、仕事の打ち合わせをしていたO氏から、「最近、バンコクで偽警官による強盗未遂被害を受けた」という話を聞いた。驚くべき事件だったので、読者のみなさんに注意喚起を促す意味で、共有させていただきたい。

この記事の目次


現場はシーロム・ソイ11

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 O氏は四十代の日本人男性。バンコクには出張ベースで月に一度程度訪れている。強盗未遂にあったのは、今から半年ほど前のこと。場所はシーロム・ソイ11。

強盗未遂事件発生現場

朝7時半、O氏が自宅のあるサトーン・ソイ12からシーロム・ソイ11を抜けて、シーロム通りにあるプルマンホテルに向かっていた時のことである。

policeサトーン・ソイ12からシーロム・ソイ11への抜け道

このソイは、車は通り抜けることができず、交通量の少ない通りだ。

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事件現場

O氏がちょうど最初の角を曲がったところで、後ろからバイクに二人乗りの警官がやってきた。
バイクは急停車し、「お前、爆弾を持っているだろう!」と、O氏のバッグをつかみ、奪い取ろうとしてくる。

O氏は、必死でバッグをガードしつつ、「爆弾など持っていない! 何かの間違いだ!」と繰り返し伝えた。だが、警官は止めるどころか、バッグを開け、中に入っている財布を奪おうする。O氏は、「タイの警官といえど、いきなりバッグを強奪するのは明らかにおかしい」と思い、スマホで写真撮影を試みた。
すぐにスマホを持った手を制され、警官はなんと腰に着けたガンホルダーに手をかけ、拳銃を取り出そうとしてきた。
さすがにこれには命の危険を感じたO氏。
「ソイの入口にはバイタクが待機しているはず」。大声で助けを呼んだ。

policeシーロム通り側のパクソイで待機するバイタク
その瞬間、警官はO氏を突き飛ばし、バイクに乗り走り去った。
幸い、O氏には外傷や荷物の被害はなかった。

2ヶ月後。同じ時間に、同じ場所で

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人通りの少ないシーロム・ソイ11

この強盗未遂から2ヶ月後。O氏は、同じ時間帯に、まったく同じ場所で、またバイクに二人乗りの警官に遭遇した。

「奴らに違いない。また襲われる」と感じたO氏は、バイクが近づいたところで、「HELP!!!」と大声で叫んだ。
驚いた警官はそのままバイクで素通りし、O氏は事なきを得た。

本物の警官であれば通りすがりに外国人が、「HELP!!!」と叫べば、何事かと事情を聞くはずである。O氏は、あの二人組は警察の制服を着ていたが、偽警官に間違いないと確信したという。

タイでは、偽警官による詐欺等の犯罪は度々起こっており、在タイ日本国大使館も以下のとおり注意喚起を促している。

犯罪傾向「偽警察官による詐欺」

この手口は、犯人(主に複数の男性)が、先ず、被害者に対して、一見するとポリスバッジ様の物(時には写真付きの証明書)を提示しながら、「○○事件を捜査中の○○警察である。」と言い、あたかも本物の警察官であると信じ込ませるような態度で近付いてきます。そして、犯人は、「所持品検査をするので、身分証明書と財布を提示しなさい。」、「財布の中に違法薬物がないか確認させてもらう。」、「あなたの持っている現金は偽札の疑いがあるので、押収する。」等捜査活動を装い、隙を見て現金等を奪います。見知らぬ人から声を掛けられた場合に安易にその人物を信用することなく、状況から判断して、「疑わしい!」と感じた場合には、周囲に助けを求める等、その場から速やかに立ち去るようにして下さい。

タイ国内における犯罪傾向と注意喚起(その3)(2014年9月16日現在) | 在タイ日本国大使館

サムイ島では昨年、偽警官ではなく本物の警官が銃を乱射し、7人が死傷する事件が起こっている。

【タイのテレビ報道によると、23日午前2時ごろ、タイ南部サムイ島ボプット地区のパブ「キャンプビア」で発砲事件があり、警官、店員ら男性7人が死傷した。

警察はこの事件で、同日朝、ボプット署所属のナロンサク警察兵長を殺人などの容疑で逮捕した。

警官がパブで乱射、7人死傷 タイ南部サムイ島 | newsclip 2016年9月23日(金)

O氏が強盗未遂に遭った場所のすぐ近くであるサトーン・ソイ10とソイ12は、ここ数年で外国人向けのレストランやカフェが次々とオープンし、欧米人を中心に一躍人気のスポットとなった。日本人にも人気のカフェ「Rocket」の第一号店があるのもサトーン・ソイ12である。

O氏がこの場所で襲われたことを考えると、二人組の偽警官は外国人を狙っている可能性が高い。スクンビットでも同様の注意は必要だろう。
今回、幸いO氏に被害はなかったが、身の危険を感じたら抵抗をせず現金などを渡してしまった方が良い場合もある。明るい時間帯でも、人通りの少ない場所を歩くことは避けたり、前後を確認しながら歩くなどの対策は必要だ。在住者・旅行者を問わず、くれぐれもお気をつけいただきたい。
最後に、犯罪被害に遭ってしまった場合の緊急連絡先を、在タイ日本国大使館のウェブサイトより転載しておく。

緊急時の連絡先

在タイ日本国大使館

  • 大使館住所 バンコク都パトゥムワン区ルンピニ町ウィタユ路177番
    177 Witthayu Road, Lumphini, Pathumwan, Bangkok. 10330
  • 代表番号 0-2207-8500、0-2696-3000

領事部

  • 住所は同上
  • 旅券証明班 0-2207-8501、0-2696-3001
  • 邦人援護班 0-2207-8502、0-2696-3002
  • 査証班 0-2207-8503、0-2696-3003
  • 領事部FAX 0-2207-8511

タイ国観光警察=Tourist Police=

  • 住所:4 Ratchadamnoen nok Road,Watsomanas,Pom Prap Sattru Phai,Bangkok 10100
  • 電話番号(緊急番号) 1155, 0-2356-0583
  • 時間:24時間対応
  • E-mail:tourist@police.go.th

バンコク首都圏警察部(バンコク都内全域を管轄)

  • 緊急番号191または123
    *自宅を管轄している警察署は何処か把握しておきましょう。
    *救急車の要請は、上記191, 123で可能です
    (救急車は病院に直接要請も可能です)。