「チャオプラヤー川沿いに、1時間100Bの激安マッサージ屋さんが密集する通りがあるんです。明石さんご存知ですか?」
先日、知人と会食をしていた時に、そう尋ねられた。
最低でも週に一度はマッサージに通う、自称マッサージマニアの僕だが、チャオプラヤー川沿いには疎い。当然、その激安マッサージ横丁も知らなかった。
「そこは、川沿いにあるお寺に通じるソイ(通り)なんです。アジアティーク・ザ・リバーフロントの近くでした」
地図を開いて場所を確認すると、どうやらそのお寺とは、ジャルンクルン・ソイ72にあるWat Worachanyawat(ワット・ウォラチャンヤワット )のことらしかった。
ところで、スクンビット周辺で激安マッサージといえば、BTSオンヌット駅近くのスクンビット・ソイ77/1が「マッサージ横丁」として知られている。通りの両脇にタイマッサージ店が立ち並び、数年前までは1時間100Bと激安だったのだが、今では1時間150Bに値上がりしてしまった。
他には、アソークにある2軒のメイマッサージ(ソイ21店は1時間120B、ソイ23店は1時間100B)もよく知られたところである。
このとおり、スクンビット周辺にも格安のタイマッサージ店は、あるにはある。だが、チャオプラヤー川沿いというツーリスティックなエリアで、それが軒を連ねているというのならマッサージ好きとしては行かねばなるまい。
ということで昨日、早速その激安マッサージ横丁を訪れてきたのだが、想定外の驚くべき発見があった。
激安マッサージ横丁 ジャルンクルン・ソイ72
激安マッサージ横丁であるジャルンクルン・ソイ72への最寄り駅となるのは、BTSサパーンタクシン駅である。
先日、以下の記事でサパーンタクシン駅からジャルンクルン通りを北上する街歩きをお届けしたが、今回は逆方向。
ジャルンクルン・ソイ72は、駅からジャルンクルン通りを1.5kmほど南下したところに位置し、アジアティーク・ザ・リバーフロントの少し北側にあたる。
徒歩では20分弱掛かり、猛暑のバンコクでは現実的ではない。駅からバイタクに乗るか、チャオプラヤーボートで向かうのがおすすめだ。詳しい行き方については、この記事の最後で説明する。
門のある通りがジャルンクルン・ソイ72
ここが1時間100Bの激安マッサージ横丁への入口である。お寺への参道になっているようだ。
早速、入ってみよう。
ジャルンクルン・ソイ72
ソイを入り、少し歩くと左手に第1マッサージ屋を発見した。
料金を見ると、タイマッサージ100B/時間、フットマッサージ120B/時間と書いてある。
お、またマッサージ屋だ。
またまたマッサージ屋だ。
店によって若干の差があるようだが、ほとんどの店がタイマッサージ100B/時間、フットマッサージ120B/時間、オイルorハーバルボールは300B/時間という料金設定である。
寺へと続く100m強のソイの両脇には、確かにマッサージ屋が軒を連ねている。激安マッサージ横丁という情報に間違いはなかった。
さて、どこの店に入ろうかと、ソイを行ったり来たり。
せっかくここまで来たのだから、まずは一度お寺に入ってみることにした。
いざ、境内へ
境内に足を踏み入れると、思いもよらない光景に遭遇したのだった。
マッサージの聖地 ワット・ウォラチャンヤワット
入口には2軒のマッサージ屋が並ぶ
なんと、お寺の中にもマッサージ屋があるではないか。
まるでタイマッサージの総本山、ワット・ポーのようである。
境内はかなりの広さ
そのままチャオプラヤー川を目指して奥へ進んでいくと、あるわあるわ、マッサージ屋の数々。
境内にあるマッサージ屋
なんなんだ、このお寺は…
敷地の広さもかなりのものであるが、至る所にマッサージ屋がある。
ようやくチャオプラヤー川が見えてきた。
チャオプラヤー川に面したマッサージ屋
な、なんと、川に面した絶好の場所にもマッサージ屋が!
タイに住み始めて間もなく6年が経つが、こんなロケーションのマッサージ屋には、これまで出会ったことがない。
最高のロケーションである。
ここでマッサージを受けてしまおうか…
逸る気持ちを抑えて、まずはお寺を一周しようと、何気なしに振り返ると…
そこには、巨大な涅槃仏が横たわっていた。
プミポン前国王が作った由緒正しき涅槃仏
立派な涅槃仏
全長20m強のこの立派な涅槃仏は、2013年にプミポン前国王が作った由緒正しき仏像である。仏像の近くには、プミポン前国王の写真が至る所に飾られており、縁の深さをうかがい知ることができる。
Wat Worachanyawat船着場
この涅槃仏の目の前は、チャオプラヤーボートの船着場(Wat Worachanyawat船着場)になっている。サパーンタクシン駅(サトーン船着場)からボートに乗れば、ここまではわずか1駅だ。
さて、そろそろマッサージを受けることにしよう。
激安マッサージを受けてみた
川に面した二階建てのマッサージ屋
涅槃仏の北側にも、川に面した二階建てのマッサージ屋があった。
二階の方が景色が良さそうだと思い、階段を上ってみると、なんと満員。
お客の多くはタイ人だが、ファランの姿も見える。欧米人には知られているスポットなのだろうか。
しかたなく、一階の店でマッサージを受けることにした。
1時間100Bのタイマッサージ
この店の料金体系は以下のとおり。
- タイマッサージ 100B/時間
- フットマッサージ 120B/時間
- オイルマッサージ 300B/時間
マッサージ師のおばちゃんに促され、タイマッサージを2時間お願いした。
マッサージ師にはイサーン出身者が多いのだろう。店内では時折、タイ東北部(イサーン)の伝統音楽であるモーラムがかかる。
ちなみにモーラムとはこんな感じの曲で、タイの演歌的な存在である。(動画は、昨年大ヒットしたブン・パトゥムラートの「アイミーヘッポン」)
窓の外からは、チャオプラヤー川を往来するボートの「ボボボボボーッ」という音。それがモーラムと合わさり、店内はなんとも言えない哀愁が漂っている。
一瞬、自分がどこに居るのか分からなってしまう。まるでイサーンのメコン川沿いでマッサージを受けているかのような気分だ。
そうだ、それにしてもなぜ、このお寺にはこれだけ多くのマッサージ屋があるのか。
マッサージ師のおばちゃんに尋ねてみた。
マッサージ屋が密集するたった1つの理由
ーなんでこのお寺にはマッサージ屋がこんなにあるの?
おばちゃん:なんでマッサージ屋があるかって? ガハハハハハ! それはねぇ、このお寺にはマッサージの学校があるからよ。
ーマッサージの学校?
おばちゃん:そうよ。ここの学校でマッサージを学んだ人が働けるようにマッサージ屋がたくさんあるのよ。
ーこのお店の人は、皆その学校で学んだの?
おばちゃん:そうよ。私もそこでマッサージを勉強したのよ。ワット・ポーみたいでしょ?
ーマッサージ屋の数ではワット・ポーなんて比べ物にならないね。
おばちゃん:ワット・ポーより凄いって? ガハハハハハ!
なにがそんなに面白いのか分からなかったが、ここにはタイマッサージを教える学校があるようだ。コースを修了した人が境内やお寺の周辺に開業しているのだろう。
このおばちゃんもしっかりと学校で学んだマッサージ師ということで、どれほどのテクニックを見せてくれるのかと期待したが、その腕前は特筆すべきものではなかった…(笑)
だが、誰に当たっても最低限の技術レベルは保っているはずである。まぁ、1時間100Bなのだから文句は言えまい。
タイマッサージ以外も学べる
タイマッサージ以外にも、様々なカリキュラムが用意されている
このお寺にはタイマッサージ以外にも、料理や美容、タイハーブなど様々な専門技術が学べる職業訓練校のような学校が併設されているようだった。
学校は朝9時頃から15時頃まで開かれているようなので、興味のある方は訪ねてみると面白いかもしれない。しかし、完全にタイ人向けなので外国人が受講できるかは不明である。
それでは、最後にBTSサパーンタクシン駅からWat Worachanyawatまでの行き方を、バイタク(バイクタクシー)とチャオプラヤーボートの2通り説明しよう。
マッサージの聖地、Wat Worachanyawatへの行き方
バイタクで行く
BTSサパーンタクシン駅3番出口を降りると、目の前にバイタク乗り場がある。
「ジャルンクルン・ソイ72」と告げれば問題ない。料金は30B。5分ほどで到着する。
言葉が通じなければ上の画像をバイタクの運転手に見せれば間違いない。
道が空いていればタクシーで行くのも良いだろう。タクシーでも40〜45B程度である。
チャオプラヤーボートで行く
チャオプラヤー川
僕のおすすめは、チャオプラヤーボートである。渋滞に巻き込まれる心配もなく、旅情も感じられるからだ。
まず、BTSサパーンタクシン駅2番出口を出て、サトーン船着場へ向かう。
BTSサパーンタクシン駅2番出口
2番出口を出て、真っすぐに進む。
サトーン船着場に着いたら左の方へ進む。
矢印の方へ真っすぐ進む。
アジアティーク・ザ・リバーフロント行きの乗り場の方へ進む。
真っすぐに乗り場を目指す
ここでボートを待機。
※アジアティーク・ザ・リバーフロント行きのシャトルボートとは、待機場もボートも異なるので注意。
ボートは右方向から来る。
Wat Worachanyawat船着場
ワット・ウォラチャンヤワットは、サパーンタクシン(サトーン船着場)から1駅。時間にして5分、料金は15Bだ。料金は乗船後に支払う。
ボート乗降の際は踏み外さないようにご注意いただきたい。
「ワット・ウォラチャンヤワット」の発音は難しいので、通じない場合は上の画像を見せれば間違いない。
アジアティーク帰りにオススメ!
マッサージスクール、そして数十軒のマッサージ屋が集まるこのワット・ウォラチャンヤワットは、マッサージの聖地と言って差し支えないだろう。規模だけで言えばワット・ポーの比ではない。
わざわざスクンビットから来る価値があるかと言われれば、難しいところであるが、アジアティークなど川沿いに立ち寄った際には訪れて損はないと思う。ただし、どのマッサージ店も日が沈む頃には閉店になるので、行くならお早めに。
また、マッサージマニアの方なら一度は訪れるべき場所であろう。
ほかにもこんな変わったマッサージ屋があるよ! という情報があれば、ぜひ教えていただきたい。