フジスーパーで販売されているタイ産のあきたこまち「のりたけ米」。
バンコクの女性向けフリー誌バンコクマダムのお米座談会で「どこのお米が一番美味しいか?」で一位を獲得したこともあり、主婦や自炊をする方ならご存知だろう。
恥ずかしながら自炊をしない僕は知らなかった。自身でもお米マイスターの資格を持ち、「のりたけ米」を手がける則竹さんより、「もっとタイ在住日本人の皆さんに、のりたけ米の美味しさを知ってもらいたい」と相談をいただいた。
聞くと、「のりたけ米」は主に日本料理店を中心に卸しており、その数200社以上。
飲食業者には知られているが、家庭向けの知名度は今ひとつ、というのが悩みなのだという。
今回、新米の販売開始にあたり、これまで以上に美味しく食べられるように改良されたということで、この機会にタイ産あきたこまち「のりたけ米」についてご紹介したい。
「のりたけ米」とは?
「のりたけ米」を生産・販売するのはRICE CREATION(THAILAND)社である。
同社の母体は愛知県名古屋市に本社を構える㈱名古屋食糧。昭和22年創業の老舗であり、日本全国に事業所を展開する大手精米業者だ。
2014年にタイでの日本米の栽培指導・流通・販売事業を目的としてRICE CREATION(THAILAND)を設立。
以来、お米のプロだからこそ出来る独自の手法で栽培・精米したタイ産あきたこまち「のりたけ米」を販売している。
作りたかったのは、家族に食べさせたい安心、安全なお米
左:則竹さん(社長) 右:橋本さん(営業担当)
今回、RICE CREATION(THAILAND)社代表の則竹さんからご相談をいただきオフィスに伺うと、則竹さんは開口一番こう言った。
則竹:「作りたかったのは、家族に食べさせたい安心、安全なお米。これが『のりたけ米』のコンセプトです」
子育て世代が多いバンコク在住日本人の家庭では、食の安全は最も気を使うところだろう。
則竹:「お米は毎日食べるものだから、安全性が第一です。小さなお子様にも毎日安心して食べさせられるお米を作りたかった。そうしてできたのが、『のりたけ米』なんです」
お米の安全性とはどんなところにポイントがあるのだろうか?
パッと思い浮かぶのは残留農薬だが、「のりたけ米」の安全性とは一体どんなものなのか?
のりたけ米が安心・安全な3つの理由
1.低温管理&こだわりの米袋
低温倉庫
タイは暑いので虫がたくさん出る。そのため日本ではやらない燻蒸(くんじょう。バルサンのような防虫剤)処理を行う精米業者が多いが、これがよくない。
「のりたけ米」では燻蒸をせずに、低温倉庫(15℃。17℃以下で虫が孵化しにくくなる)に保管する事で虫の発生を防いでるという。また窒素ガスを充填し、脱気包装にする事で虫の発生とともに1年以上食味が落ちない特殊な手法を用いているのだという。
2.年2回の残留農薬チェック。
残留農薬チェックの検査結果
タイでは無農薬栽培や減農薬と言ってもその後の防虫のために燻蒸処理を行っている事もある。それでは意味がない。「のりたけ米」では年2回の収穫ごとに残留農薬のチェックを日本の農協基準で行っており、この最終段階にて残留農薬面で問題ない事を確認している。
検査項目は500にものぼり、タイで日本基準の検査を行っている精米業者は「のりたけ米」のみではなかろうか。
他社が行っている燻蒸処理
3.ガラスや金属混入を許さないお米の選別
選別機
精米工場で一番高価な機械は日本から輸入したお米の選別機だという。精米工場ではお米を精米するだけではなく、より美味しく食べるために小粒のお米や虫食い米の除去や、安全を担保するための金属やガラスの除去が行われている。
その際に最も注意しなければならないのが、金属やガラスの混入。日本ではほぼ全ての精米業者がそれらを取り除ける特殊な選別機を導入しているが、驚くべきことにタイではほとんどの業者が導入していない。
また、お米を包装後の最終チェックとして金属検出器を使うのだが、導入されてない精米業者も少なくない。
のりたけ米の選別機はNIR(近赤外線カメラ)なのでガラスも選別可能
精米では金属とガラスが入っていないことが、味よりも大事。美味しい美味しくないの前に安全性が一番大事なのだ。
そうは言っても美味しくなければ食べてもらえない。「のりたけ米」はもちろん美味しさも追求している。
美味しさの4つの秘訣
1.美味しいお米は土作りから
まずは「土作りから」。この言葉をコンセプトに「のりたけ米」では化学肥料は極力使わず、有機肥料にこだわり、稲を作る土台となる土を育てることに力を注いでいる。
日本の歴史をみても全国どこでも美味しいお米が食べれるようになったのは、日本の農家が土作りに時間と労力をかけてきたからである。
上の写真は土作りからしっかりと作り上げたお米と通常栽培の比較。根量と根長が1.5〜2倍ほど差が出ていることがわかる。
その分しっかりと栄養や水を吸収することができ、体を作る光合成が効率よく行われるのだ。
2.肥料
米作りは子育てと同じ。幼少期や女性の妊娠期にしっかりとした栄養を必要とするのと同じように、稲にも必要な肥料を適切な時期に適切な量を与えることでしっかりとした粒が作られ、お米独特の甘みや粘りが生まれるという。
なんとお米にはその適切な期間がわずか3日間(100日中)しかない。「のりたけ米」では産地にタイ人スタッフを雇用し、それを逃さないために週1回田んぼに出向いて「いつ肥料をやるべきか」チェックをしている。これが「のりたけ米」独特の甘みや粘りの秘密だ。
3.うまみ層を残す精米
「のりたけ米」ではお米に優しい日本の精米機で精米をしている。タイ製の精米機は粗く、米がひび割れてしまう。炊飯するとひび割れに水が入り、ご飯の段階では割れたご飯粒ばかりになってしまう。タイ産日本米にはそういう商品が少なくない。
日本の精米機は低温低圧で精米するため米が割れにくく、ご飯になっても割れないのでしっかりした粒感を楽しめる。また、お米には甘さを決める「うまみ層」というものがあり、タイ産の精米機だと精米時に削れてしまう事が多い。「のりたけ米」ではこのうまみ層を残したままの精米にこだわっている。
なぜタイは粗く削るのかというと、燻蒸処理のせいでお米の表面に薬剤が残っているため。薬剤を削り取るため粗く精米をしているのだ。そのせいでうまみ層まで削ってしまい、美味しくなくなってしまうというわけだ。
4.脱気包装
昨年11月に販売開始した新米からパッケージを一新。脱気包装(窒素を入れた真空パック)にしたことで未開封なら1年経っても味が劣化しないように改良された。
いつ開封しても精米したてのフレッシュ感が味わえるのは嬉しい限り。開封後は冷蔵庫保存をすれば味の劣化を抑えることができるという。
お米を美味しく食べるためには炊き方が重要なのは言うまでもない。そこでのりたけ米を美味しく炊くためのコツを教えてもらった。
美味しい炊き方のコツ
基本は、正しく計って、きちんと洗って、水の加減を間違えない。この3つができていれば美味しく炊けるという。
実際に炊きたての則竹米を食べさせてもらったが、甘みと粘り気があり、白米だけでも十分に食べられるほど美味しかった。
美味しいごはんの炊き方
- 1. 下記のステップに関して、デジタル計量機の使用を推奨致します。
- 2. お米全体を水で素早く洗いすぐ捨てる(10秒程度)、 これを2~3回繰り返します。
- 3. お米全体をゆっくり丁寧に洗い、研ぎ汁が半透明になった所で洗うのを止めます。 (目安は3〜5回、洗い始めから終わりまでは5分以内に完了して下さい)
- 4. 水を加えます(洗米及び加水には弱軟水のミネラルウォーターを推奨致します)。
基本となる重量調整は下記の通りです。
洗米後お米+加水=2.4×洗米前お米 - 5. お米の芯まで水を吸わせてふっくら炊き上がる様に最低30-45分静置します。
- 6. 生米1㎏に対して30g程度を目安に料理酒又は味醂を加えます。
- 7. 炊飯器のスイッチを入れます
- 8. 炊き上がり後しゃもじで全体をほぐし(水分を均等にしてごはんをふんわりさせる為)、5-10分置いたら出来上がりです。
※もしすぐに炊く為のストックを作りたい場合は、ステップ2 ~ 4までを行ったものを蓋付き容器にて冷蔵保管をお願い致します。
美味しく炊く裏技?!
- 日本酒(料理用で可)を加える。みりんでもOK
- 量はお米1合につき小さじ1杯程度(甘みと粘り気、色艶が増す)
- 炊飯器のスイッチを入れる直前に、氷を入れて水温を下げる、13℃が理想(炊き上がりが良くなる、水量の増加に注意)
則竹さんが目指すもの
則竹さんがタイに来た7年前、日本米を食べ、まったく美味しいとは感じなかったが、タイ人は美味しいと言って食べていたことに衝撃を受けたという。
ちゃんとした美味しい日本米をタイ人に食べてほしい。
そして、自分の家族にも安心して食べてもらえる米を作り、届けたい。
それが精米業者としてタイの日本人社会にできる価値であり、使命だと感じたのだという。
ー則竹さんの目指すものとは
則竹:私には2つの夢があります。一つは、日本人でもタイ産日本米を美味しいといって食べてもらえる味と品質を作ること。そして将来的には安心安全で日本にも負けない食味のお米を日本にも輸出をしたい。自分の子供が大きくなった時にこのお米はお父さんが作ったんだと友達に自慢出来るようなそんな仕事がしたいですね。
則竹:もう1つは、「のりたけ米」をアフリカの子供たちに届けること。世界には芋や豆を主食としている国がまだまだ沢山あります。アフリカの子供達にとって粘りと甘みがある日本米は、驚くべきものでしょう。そしてそれが将来日本食に興味を持ってもらうことに繋がればこれ以上嬉しいことはありません。
則竹:どちらの夢も、お米のことを詳しく知る人には難しいと言われてきました。でも出来るかどうかはやってみなければ分からない。届けたいから届ける、僕にとってはただそれだけです。その一歩目としてタイで「のりたけ米」を広げたいと思っています。
以上、タイ産あきたこまち「のりたけ米」をご紹介した。
のりたけ米がどんな想いで作られているか、おわかりいただけたと思う。
まだ「のりたけ米」を食べたことがないという方は、ぜひ一度召し上がってほしい。
日本産のお米と遜色ない美味しさを感じていただけるはず。
「のりたけ米」の販売先、お問い合わせ先は下記まで。
個人だけでなく飲食業者の方も遠慮なくお問い合わせください。
のりたけ米のお問い合わせ先
のりたけ米のお買い求めはフジスーパー各店とドン・キホーテ(バンコク店)へ。
- のりたけ米(タイ産日本米)
・フジスーパー全店
・ドンドンドンキ・トンロー店
・サイアム高島屋 - 搗きたて銀しゃり米(日本産米)
・フジスーパー全店
・サイアム高島屋 - お電話でのお問い合わせ:06-5491-9888(日本語:内田)