タイで日本人が狙われる詐欺について紹介するこのシリーズ。第1回目は、バンコクやパタヤなど日本人観光客が多いエリアで多発している「日本円を見せてくれ詐欺」を取り上げた。
在住者であればこの詐欺のことを知らないという方はいないと願いたいが、まだタイに来られたばかりの方や旅行者の方は、絶対に引っかからないよう一度はこの記事に目を通しておいて欲しい。

【注意喚起】日本円見せてくれ詐欺に引っかからないで

念のため簡単に手口を説明しておこう。

  • アラブ人2〜3人組(男女が多い)
  • 今度日本に行くが日本のお金を見たことがないので見せて欲しい。(日本円を持っていないと言うとタイバーツでもいいから、と言ってくる)
  • 財布を渡したり、お札を渡してしまうと気付かない内に数枚抜かれている。

実は、今週ホイクワンでこの詐欺に引っかかりそうになっている日本人男性を見かけた。財布を渡す直前で声をかけさせていただき事なきを得たのだが、絶対に見ず知らずの他人に財布を見せたり、渡したりしないようにして欲しい。

この記事の目次


国際還付金に係る架空の証書詐欺とは?

sagi kokusai kanpukin

さて、前置きが長くなってしまったが、今回はシリーズの第2回目として、「国債還付金に係る架空の証書詐欺」について取り上げたい。
昨日、在タイ日本大使館から在住邦人向けに緊急一斉メールが配信されたのでほとんどの方がご存知だとは思うが、念のため転載し、注意喚起させていただく次第である。

(以下、メール転載)

邦人の皆様へ 緊急一斉メール
【在タイ日本国大使館からのお知らせ】
国債還付金に係る架空の証書(「還付金残高確認証」「認証書」)に関する注意喚起(2015年6月4日現在)
1. 過去に摘発された詐欺事件で使用されたものと同様の架空の証書(「還付金残高確認証」「認証書」)が最近、タイを含むアジアの数カ国において出回っています。

2. 「還付金残高確認証」とは、証書上に記載された金額の国債還付金の残高の存在を示し、これと同額の国債に引き換えることを大蔵大臣が約束したとする架空の証書であり、財務省ホームページにも、そのような証書は法律上存在しない旨、注意喚起が出されております。
https://www.mof.go.jp/jgbs/topics/za072.htm

3. また、上記「還付金残高確認証」の効力を裏付けするような「認証書」と呼ばれる和文および英文の証書も出回っているようです。
「認証書」には「財務省」「理財局」などの記載とともに押印もなされておりますが、上記「還付金残高確認証」が法律上存在しない以上、「認証書」も架空の書類となります。

4. 「還付金残高確認証」「認証書」を用いた資金提供等を持ちかけられた場合は最寄りの警察署等にご相談ください。
また、架空であることを知らずに「還付金残高確認証」「認証書」を受け取り、銀行や公的機関に持ち込むことで、気づかぬ内に犯罪に加担することになってしまう可能性もありますので、十分ご注意ください。

(問い合わせ先)
在タイ日本国大使館
電話:+66-2207-8501、696-3001
FAX:+66-2207-8511

(転記ここまで)

還付金残高確認証とは?

sagi kokusai kanpukin

上記2について、リンク先の財務省ホームページより以下転記する。

「還付金残高確認証」(架空の証書)についてのご注意

「還付金残高確認証」とは、証書上に記載された金額の国債還付金の残高の存在を示し、これと同額の国債に引き換えることを大蔵大臣が約束したとする架空の証書です。この架空の証書を用いた詐欺事件は昭和59年に摘発されましたが、その後もこの証書を使った事案が発生しています。
財務省(大蔵省)は、この「還付金残高確認証」なるものを発行したことはありません。同確認証は、法律上も存在しないものですので、ご注意下さい。
また、「還付金残高確認証」を用いた資金提供等を持ちかけられた場合には、最寄りの警察にご相談下さい。

<使用された「還付金残高確認証」(架空の証書)の例>

[表面の例] sagi kokusai kanpukin

[裏面に理財局の裏書きが偽造された例]sagi kokusai kanpukin

(参考)架空の証書の券面記載金額は、例示した500億円の他、100億円から5000億円まで多くの種類があります。また、裏面に財務省理財局による裏書きを偽造したものもあります。

(転記ここまで)

古くはM資金から

sagi kokusai kanpukin
この「国際還付金に係る架空の証明書」について、調べてみると古くはかの“M資金”詐欺でも利用されていたようである。
wiki“M資金”より引用

被害者を信用させるためのもっともらしい小道具を作るために、財務省(旧大蔵省)内部で使用される封筒や便箋などを様々な伝を使って入手し、時には財務省の庁舎内で被害者と会うなどして、当局との関係を強く類推させることで被害者を信用させていく。また元代議士や皇族、大企業の役員等が本人が気がつかない形で(パンフレット等に)利用されることもある。やがて、おもむろに巨額の金額が記された、偽造の“国債還付金残高確認証”などを見せる。そして多くの被害者にとって未知の書類・用語を用い、「元代議士」や「皇族」、「大企業の役員」と称する人物が現れるなどする。
太字の偽造書類が用いられたケースとして、青柳ハツグループによる詐欺事件がある。 1984年4月24日 日本経済新聞朝刊「“M資金”女サギ師御用、偽預金証書見せ1300万円詐取」など。

まさに古典的な金融詐欺であるが、このように大使館より注意喚起があるということは、騙される方がそれだけ多いということ。
タイにいると、おいしい儲け話を持ちかけられ、大金を騙し取られたという話には枚挙に暇がない。騙されたほうは、騙されたことに気づいても、儲け話に乗った自分にも否があると考え、「いい勉強になった」と法的措置もとらず、泣く泣く日本に帰るケースも少なくないと聞く。
2〜3年前も日本からの飲食店の進出コンサルティングに係る詐欺がバンコクで流行っていたが、最近はあまり聞かなくなった。噂ではカンボジアやミャンマーで同様の詐欺が発生していると聞く。
日本から何のツテもなくタイへ進出するという方へ、会社設立やビジネスビザ・ワークパーミット取得等の最初のステップで騙されないようくれぐれもご注意いただきたい。

それではまた来週!
TGIF !!!!