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なぜウイグル族の関与が疑われているのか?

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タイから中国に強制送還されるウイグル族
画像出典:https://nickobongiorno.wordpress.com/2015/07/10/turkish-muslims/

なぜこの爆破テロ事件にウイグル族の関与が疑われているのだろうか?
今年7月、タイ政府は、新疆ウイグル自治区から逃れてきたウイグル族109人を、中国に強制送還している。強制送還される際に飛行機内で頭から袋のようなものを被せられ、まるで犯罪者を誤送するかのような対応が大きな波紋を呼んだ。
このタイ政府の対応への抗議として、トルコのイスタンブールで7月8日にデモ隊がタイ領事館を襲撃するという事件が起こった。

トルコのイスタンブール(Istanbul)で8日夜、タイ当局がウイグル人イスラム教徒約100人を中国に送還したことに抗議するデモ隊が、タイ領事館を襲撃した。
デモ隊がトルコのタイ領事館襲撃、ウイグル人の中国送還に抗議 | AFP

襲撃の動画はこちら。

多くのトルコ人はウイグル族を「兄弟」とみなし、中国からの密入国者を歓迎してきたという経緯がある。

中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)に暮らすウイグル人は、チュルク語を母語とし、その大半がイスラム教徒。トルコでは、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」に入ってから、ウイグル人らに対する中国当局の扱いに抗議する民族主義的な抗議デモが相次いで起きている。
デモ隊がトルコのタイ領事館襲撃、ウイグル人の中国送還に抗議 | AFP

トルコの通信社ドーガン(Dogan)によると、領事館への襲撃は、東トルキスタン教育連合(East Turkestan Education Association)を名乗る集団が組織。デモ隊は外の標識を倒し、建物のドアを壊して内部に侵入、家具などを破壊した。また領事館には石が投げられ、掲揚されていたタイ国旗が撤去されたという。襲撃で9人が逮捕された。
デモ隊がトルコのタイ領事館襲撃、ウイグル人の中国送還に抗議 | AFP

このウイグル族の中国への強制送還というタイ政府の措置への報復として今回の爆破テロが引き起こされたのではないかと見られている。

詳しくは、以下ニューズウィークの記事をお読みいただきたい。

なぜバンコク爆発事件でウイグル族強制送還報復説が浮上しているのか | ニューズウィーク

東南アジアに広がるISIS(イスラム国)によるテロへの警戒

東南アジアにおいても、ISIS(イスラム国)によるテロへの警戒が高まっているという。

ウイグル族の中には、さらにトルコ等を経て「イスラム国」(ISIS)に参加する者がいるとの懸念があり、例えば、中国の孟宏偉公安部副部長は今年はじめ、マレーシアのザヒド内務相と会談した際、中国人300人以上がマレーシアを経由してイスラム国に向かったとの見方を示した。タイやマレーシアで移民局によって捉えられた数百人のウイグル族と見られる人々は、トルコパスポートを持っていた。現地のトルコ大使館がパスポートを与えているとの情報すらある。
なぜバンコク爆発事件でウイグル族強制送還報復説が浮上しているのか | ニューズウィーク

イスラム国の興隆を念頭に、東南アジア各国はテロへの警戒を強めていたところだった。例えば、観光に力を入れてきたシンガポールのリー・シェンロン首相は5月のシャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)で、イスラム国が東南アジア諸国の政府権力から離れたところで領土をもつ可能性に言及し、「東南アジアでのどこかで拠点をつくると考えても不思議でない」と述べた。国内でテロが一旦起こると、LCCの発達などの恩恵を受けて増えてきた海外旅行の増加に冷や水を浴びせかねないという懸念がある。
なぜバンコク爆発事件でウイグル族強制送還報復説が浮上しているのか | ニューズウィーク

タイ警察は新たに3人の男に逮捕状を取った

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画像出典:Bangkok Post

昨日、タイ警察は新たに3人の男の逮捕状を取った。2件目の爆破テロの実行犯と見られる青シャツ男については、すでにカンボジアに入国したことが分かっており、カンボジア当局に捜査協力を要請しているという。

桟橋近くで起きた爆発の、青いシャツを着た実行犯については、すでにカンボジアに入ったことがわかり、カンボジア当局に捜査協力を要請している。
バンコク爆弾テロ 実行犯とみられる男の旅券に「新疆ウイグル」9月2日(水)1時38分配信 |フジテレビ系(FNN)

 1人目の逮捕者は、実行犯との連絡係か?

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爆破テロ事件1人目の逮捕者
画像出典:http://www.ibtimes.co.uk

8月29日にバンコク東部のアパートで逮捕された爆破テロ事件の1人目の男は、実行犯との連絡係りと見られている。

バンコク中心部で起きた爆破テロ事件で、爆発物所持容疑で逮捕された外国人の男(28)が、事件の前後に現場の実行犯と携帯電話で連絡を取り合っていた可能性があることがタイ国家警察庁の捜査から明らかになった。警察は、男が爆弾の製造か連絡役を担っていたとみて取り調べを続けている。
爆発物所持容疑の男、実行犯と連絡か タイ爆破テロ | 朝日新聞デジタル 8月30日(日)21時31分配信

以上、現時点で報道されている2人目の逮捕者についての情報をまとめてみた。
昨日逮捕された男が本当にエラワン廟爆破テロ実行犯の黄シャツ男なのか?
そして、実際にはどこで逮捕されていたのか?
引き続き捜査の行方を見守っていきたい。

それではまた明日!