“バンコクのアキバ”として知られるサパーンレックが、10月中にも撤去されることが決定的となった。
サパーンレックとは、ヤワラート通り(中華街)とマハチャイ通りの交差点の手前にあるオンアン運河の上に作られた市場で、フィギュア、ゲームソフト、モデルガン、コピーDVDなどを売る店が密集するバンコク屈指のオタクの聖地として知られている。
店の数は500軒にも上ると言われ、タイのみならず東南アジアでも最大規模の電脳街である。
扱っているモノがモノだけに、一般のガイドブックでは取り上げられることがないサパーンレックだが、一部の日本人にはよく知られた存在だ。
サパーンレックで検索すると個人ブログがたくさんヒットするので、詳しく知りたい方は検索してほしいが、以下の記事がサパーンレックについてものすごく詳しく紹介しているので、サパーンレックとはどんな市場なのか知りたい方は一読をすすめる。

暗黒コピーゲーム市場“サパーンレック”の真実 – 知られざるアジア最大の海賊盤市場の歴史 Part 1 | AUTOMATON

暗黒コピーゲーム市場“サパーンレック”の真実 – 知られざるアジア最大の海賊盤市場の歴史 Part 2 | AUTOMATON

さて、そのサパーンレックだが、9月28日から15日以内に完全に撤去するとバンコク副都知事が明言した。
撤去する理由として、バンコク副都知事は以下の3つを挙げている。

  • そもそも運河という公共の場所に違法に建築された市場であるということ
  • 市場があることで運河の排水機能が低下し、水質汚染を招いていること
  • 10年前にも撤去勧告を出したにもかかわらず、まったく撤去がされていないこと

今後の撤去までの流れは以下の通り。

  • 既に店舗に対しては撤去・移転を勧告済み。
  • 9月28日までに撤去していない店舗に対して撤去命令勧告が貼られる。
  • 9月28日から15日以内に自主撤去しない店舗に対しては、都が強制撤去を行う。
  • 移転先として、パタ・ピンクラオ裏にある市場に場所を用意する。

地元タイラット紙のオンライン版で、サパーンレックの撤去についてバンコク副都知事へのインタビューが掲載されていたので、翻訳してご紹介したい。

ソース
รองผู้ว่าฯ ยัน ‘สะพานเหล็ก’ ถูกรื้อแน่ ย้ำดำเนินคดีถึงที่สุด กับร้านค้าที่ขัดขืน
http://www.thairath.co.th/content/527858

以下、翻訳。

「バンコク副都知事が、サパーンレック市場を撤去し、撤去に応じない店舗に対しては最終手段として訴訟を起こす用意があると断言した」
9月28日、副都知事は撤去に応じない店舗に対し、15日以内に店舗を自主撤去しなければ、都により強制的に撤去され、如何なる交渉にも応じないこととした。また、10年以上もの間違反行為を行ったとして、法律に従い訴訟を起す準備のある旨を記載した出頭命令書の用意があるとした。
オンアン運河不法侵入改善委員会による会合にて、運河上に建物が建設されているダムロンサティット橋からボピットピムック橋エリアにおいて、多数の小売店がひしめき合い、公共排水機能を低下させているとし、バンコク都は本日付で、建物所有者及び店舗運営者に対して、上記の主張を理解し、撤去・移転に応じるよう勧告した。
タイラットオンライン取材班が、当エリアを管轄するバンコク警察ウィチャイ・サンプラパイ少将を取材したところによれば、役所によって、既にサパーンレックとその周辺エリアに撤去勧告が掲示されているという。掲示には、28日迄に上記の地域からの撤去に応じなかった際に受ける処罰の詳細が記してある他、28日迄に撤去が完了していない店舗に関しては、バンコク都により店舗入り口に撤去命令勧告が貼られ、その後15日以内に撤去しない場合は、強行撤去が行われる旨が記されている。
バンコク副都知事はこう語る。「大部分の店舗運営者には、彼らが公共の土地を侵害しているということを理解して頂き、バンコク都が指定した現市場と似たような場所へ移転できることになっている。また、移転先の場所が足りなくなった場合には、バンコク都によりバンコク市内の土地が提供される。補償金に関しては、バンコク都では責任を負いかねない。何故ならば、彼らが10年以上もの間、公共の土地を侵害していたからだ。このオンアン運河は、仏暦2519年(西暦1979年)より続く歴史的運河であり、また、バンコク都の重要な排水機能を担っている。それにも拘らず、商売人達がセメントで埋め立てしたために、排水ができなくなってしまっている。何十年もの間、再生することができずにいるのが現状だ。そして何よりも最も問題であると思うのは、10年前に撤去命令を出したものの、未だに行われずにきてしまったことだ。」
最後に彼はこう締め括る。勧告通りに撤去作業を行わない店舗運営者に関しては、法律に従い禁固刑及び罰金が課され、バンコク都が強制撤去を行った際の撤去作業費用は全額店舗主が負担するものとし、之まで長きに渡って撤去を先延ばしにしてきたことから、例外はないものとする。移転を快く受け入れた者には、その移転先として一先ずパタ・ピンクラウ裏にある市場に場所を用意することとしている。

記者によれば、オンアン運河の当市場には、合計500もの小売店が入居しており、サンパンウォン地域には125店舗、プラナコン地域には375店舗運営されているという。

翻訳ここまで。
28日まであと1日と迫った昨日、サパーンレックに実際に行ってきた。
サパーンレックで30年以上商売をしている店主にも話を聞いてきたので、昨日の時点での様子と合わせてお届けする。

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