バンコクから遠く離れた、ラオスと国境を接するタイ東北(イサーン)地方ウボンラチャタニー県。ラオスとの国境近く、シリントーン湖を西方に望む山中にこの美しい寺院はある。旅行好きの方にはチョンメーク国境の近くと言った方が想像し易いかもしれない。 

ワット・シリントーンワララームは、タイの写真家や写真愛好家の間で、ここ数年の間に美しい写真が立て続けに発表され、瞬く間に有名になった寺院だ。ラオスの古都ルアンパバーンで“最も美しい”と称される寺院「ワット・シェントーン」を模したルアンパバーン様式で建立されている。

満天の星空の下、光り輝く幻想的な寺院

Photogenic Thailand wat Sirindhorn

僕も長らく訪れる機会を窺っていたが、昨年ようやく実現できた。

このときはラオスとの国境沿いを中心に自然の被写体を中心に1週間ほど周る旅程を組み、クライマックスにこの寺院を設定。念のため2泊して予備日を設け、初日の昼間には下見をする気合の入れようで撮影に臨んだ。

撮影時刻は、夕方から夜にかけてがベスト。車で30分くらいの距離にあるコンチアム辺りに宿をとって、時間を気にせず撮影を楽しむことをお勧めしたい。できれば空気が澄む12月から1月頃の肌寒い乾季に出かけて、満天の星空を背景に絡められれば言うことない。

この寺院を緑色にライトアップしているのは、電灯ではなく蛍光物質。夕暮れどき、辺りが暗くなるに従いこの蛍光物質が徐々に輝きを放ち始める光景は、まさに幻想的。この寺院に限っては、ぜひ「生命の樹」と呼ばれるオブジェが緑色に光輝く建物の背面側から狙ってほしい。

日が沈み、星が輝きだしたら、撮影位置を変えてより暗い北東の空を背景に星空を絡める。もちろん未明を待って一層輝く星空を求めることもありだが、蛍光物質が変わらぬ輝きを持続できるかどうかを僕は経験していないので、どなたか挑戦された方がいれば、ぜひ声を聞かせていただきたい。

美しく寺院を撮るための撮影技術

Photogenic Thailand wat Sirindhorn

本堂内の仏像

機材は、高感度に強いカメラと出来るだけ明るめの広角レンズを使いたい。ちなみにここに紹介した星空の写真は、焦点距離18mm、ISO1600/f2.8/30秒のセッティングで撮った。このときシャッタースピードが長すぎると、星が流れてしまうので気をつけてほしい。

等倍で見ると30秒でも星が流れ始めているのが判る。この辺りは、高感度ノイズとのバランスもあるので自身の価値観でいろいろトライしてみていただきたい。

ホワイトバランスも蛍光灯あたりのセッティングにすると雰囲気が出るので、好みの感じに設定して現像時に微調整するといいだろう。

また、絞りを開けて撮るため、ピント合わせはよりシビアになる。写真で見るよりも実際の現場は暗めなので、クロスセンサーを搭載していないカメラの場合は、ハンドライト等を準備してピント合わせに役立てたい。

Photogenic Thailand wat Sirindhorn

年々人気が高まっている場所なので、時間には余裕をもって行動することが大事だ。田舎道といえど大型連休には渋滞になるし、早めに場所を確保してからも根気よく人がいなくなるチャンスを待つことが必要になる。それでもこの星空の写真をものにしたときは、本当に嬉しかったと今でも思う。

ワット・シリントーンワララーム 基本情報

  • 名称:ワット・シリントーンワララーム(Wat Sirindhorn Wararam)
  • 住所:Chong Mek, Amphur Sirindhorn, Ubon Ratchathani 34350
  • 営業時間:8時半〜16時半 無休
  • 料金:無料
  • 行き方:ウボンラーチャターニー市街から東方向へ約90キロメートル。国道217号で車で約1時間半。
ワット・シリントーンワララームMAP