ソンクラン連休明けの4月18日、「バンコクの主要道路で営業する屋台が、年末までに全て撤去される」という衝撃的なニュースが報じられた。
参考記事:BMA bans all street food across Bangkok this year | THE NATION
日本の大手メディアでも一斉に報じられたので、ご存知の方も多いだろう。
参考記事:バンコクの屋台街、主要道路での営業禁止へ | ハフィントン・ポスト
参考記事:タイ・バンコク名物の屋台、主要道路で営業禁止に 美化活動の一環 | AFPBB NEWS
AFPの取材に、バンコク知事の首席顧問を務めるワンロップ・スワンディー氏は、「市街のすべての主要道路で、服やコピー商品を売る露店、食べ物を売る屋台の営業は禁止される」とし、「秩序、および衛生上の理由で許可されない」と述べたという。
バンコク知事の首席顧問を務めるワンロップ・スワンディー(Wanlop Suwandee)氏はAFPの取材に対し、「市街のすべての主要道路で、服やコピー商品を売る露店、食べ物を売る屋台の営業は禁止される」とし、「秩序、および衛生上の理由で許可されない」と述べた。
年末までにバンコク都内全50地区の歩道から屋台が撤去される予定だという。
「バンコク首都圏庁は現在市内の全50地区から露天商を立ち退かせ、歩道を歩行者に返そうと取り組んでいます。例外はありません」と、ワンロップ氏は述べた。
バンコクの屋台街、主要道路での営業禁止へ | ハフィントン・ポスト
直近に撤去を計画している屋台街として、観光客に人気の高い中華街(ヤワラー)とカオサン通りが挙げられた。
ヤワラー(中華街)
カオサン通り
カオサン通りとヤワラーの屋台撤去報道は誤報?!
だが、実はこれは誤報だったと昨日報じられた。
THE NATIONの下記記事によると、バンコク知事の首席顧問を務めるワンロップ・スワンディー氏は、バンコク都庁(BMA)が年内に全ての屋台を撤去するという一昨日の報道を否定した。バンコク都庁は全ての道路の屋台を撤去させるつもりはなく、今回の報道は正確ではないと語ったという。
参考記事:China Town, Khao San Road areas to be transformed into organised street food areas | THE NATION
また、BKマガジンの下記記事によれば、次のターゲットとされたヤワラーとカオサン通りについては、バンコクの観光の中心地であり、外国人のためにこの2つのエリアの屋台街に関しては撤去しない計画を立てているという。
詳しくは原文をご確認いただきたいが、ヤワラーとカオサン通りに関しては屋台を撤去はしないが、バンコク都公認の屋台エリアを設け、そこに移動させることを計画しているようだ。
だが、この2カ所以外の主要道路で営業する屋台街に関しては撤去される可能性が高そうである。
これまでに撤去されたバンコクの屋台街
これまでYindeedでは何度も取り上げてきたが、バンコク都は昨年から以下の主要な屋台街の撤去を無慈悲に実行してきた。
- スクンビット・ソイ38
- スクンビット通り(ナナ〜アソーク間)
- プラトゥーナム市場周辺
- サイアム駅下ナイトマーケット
- セントラルワールド前
- シーロム通り
- ホイクワン・ナイトマーケット
詳しくは以下の記事をご確認いただきたい。
スクンビットだけじゃない! 10月3日にバンコク都内計5カ所の屋台街が撤去されていた。
この1〜2年の流れを見ていると、大通りで営業する屋台に関しては今後も撤去を進めていく方針で間違いないだろう。
4月17日からトンロー、エカマイ、プラカノンの屋台街が撤去?!
実は3月22日に、4月17日からトンロー、エカマイ、プラカノンの屋台街を撤去するという報道があったのはご存知だろうか。
参考記事:There will be no more street food on Thonglor, Ekkamai and Phrakanong after Apr 17 | BK MAGAZINE
トンロー、エカマイ、プラカノンは、日本人が多く暮らすエリアであり、このニュースは在住日本人の間でも話題になっていた。
はたして本当に撤去されてしまったのか? 18日と19日にトンロー、エカマイ、プラカノンを訪れ、取材した。
4月18日 トンロー
トンロー通りでは、以前はソイ1の少し手前とソイ9の入口周辺に屋台が集まっていたが、はたして?
トンロー・ソイ1手前
以前はここに屋台街があった
上の写真はソイ1手前の屋台があった場所だが、一昨日は屋台の姿は見えなかった。
ソイ9入口付近
トンロー・ソイ9入口付近の様子
ソイ9入口にも屋台の姿はない。トンロー通り沿いの屋台街は、本当に撤去されたしまったようだ。
続いてエカマイに向かった。
4月18日 エカマイ
エカマイ・ソイ30
エカマイの屋台街といえば、エカマイ・ソイ30の入口付近が有名だ。スクンビットエリア最大の路上の屋台街である。
ご覧のとおり、一昨日も屋台街は顕在だった。
エカマイ・ソイ30なぜここは撤去されていないのか? 一軒のスルメ屋台の主人に話を聞いた。
エカマイ・ソイ30の屋台街が撤去されない理由
エカマイ・ソイ30でスルメ屋台を営むおっさん
ー4月17日からエカマイも屋台が禁止されていると聞いていますが、営業して問題ないのですか?
スルメのおっさん:昨日からエカマイも屋台がダメになったのは間違いないんだが、それは大通りで営業する屋台のみなんだよ。エカマイ通りでは営業禁止だが、ここのように大通りから一本入った道であれば屋台は営業できるんだ。
ーなるほど、そうなんですね。では、ここには撤去命令は出ていないということですね?
スルメのおっさん:今のところ出ておらんよ。ここは大丈夫だろう。
ーそれは良かったです。ご商売はどうですか?
スルメのおっさん:まぁ、ボチボチってとこだな。良くもなく悪くもないよ。これからもここで商売を続けていきたいね。
大通りでは屋台の営業は禁止されたが、ソイの中に入れば問題ないということである。
4月19日 プラカノン
スクンビット・ソイ71
プラカノンエリアの屋台街といえば、スクンビット・ソイ71(ソイ・ピディ)だ。ソイ71の歩道には屋台が連なり、賑わいを見せていた。だが昨日、屋台はその姿を消していた。
ただ、プラカノンも大通りから一本入ったソイでは屋台が営業を続けていた。エカマイと同じく大通り以外は問題ないのかもしれない。
今回のトンロー、エカマイ、プラカノンの屋台街の撤去命令に関しては、大通り沿いのみということのようである。
それではその他のスクンビットエリアの屋台街はどうなっているのか? プロンポンとオンヌットの屋台街にも足を運び、現状を確認してきた。
4月18日 プロンポン
プロンポンで屋台が集まる場所は大きく下記の2カ所。
- スクンビット・ソイ33
- BTSプロンポン駅下
まずはスクンビット・ソイ33を見てみよう。
スクンビット・ソイ33
スクンビット・ソイ33入口付近
上の写真のとおり、まだ屋台は営業していた。ただし、路上から歩道の上へと少し移動したようだ。歩道はアカン。おそらく近いうちに撤去させられるのではないだろうか。
BTSプロンポン駅下
BTSプロンポン駅下
一昨日の時点では、BTSプロンポン駅の高架下に集まる屋台は顕在だった。念のため一軒の屋台のおばちゃんに話を聞いてみた。
ーここで屋台を営業するのは問題ないのですか?
おばちゃん:問題よ! 本当は営業禁止されているの。
ーえっ!? ダメなんですか? でも普通にみんな営業しているじゃないですか。
おばちゃん:取締官が来たらすぐに逃げるのよ! ガハハハハ!
ーガハハハって。(笑) でもいつから営業禁止になったんですか? やはり昨日から?
おばちゃん:いつからかは忘れたけど、昨日からじゃなくて、もうだいぶ経つはずよ。
どうやらBTSプロンポン駅下の歩道でも屋台の営業は本来は禁止されているようだ。今のところお目こぼしされているようだが、ここはスクンビット通りという大通りに面した歩道であり、さらには駅の真下という歩行者も多い場所である。近い将来、完全に撤去させられてしまうような気がしてならない。
続いてはオンヌットの屋台街を見てみよう。
4月19日 オンヌット
オンヌットの屋台街は下記の3カ所。
- オンヌット通り
- スクンビット・ソイ77/1
- BTSオンヌット駅下
まずはオンヌット通りから見てみよう。
オンヌット通り
オンヌット通り入口付近
オンヌット通り(スクンビット・ソイ77)は、スクンビット通りの入口からBIG Cにかけて、歩道上に屋台が連なっていた。
昨日の時点では、完全に屋台の姿は消えている。ただし、この場所を訪れたのは数ヶ月ぶりであり、正確にはいつ撤去されたかは不明である。
スクンビット・ソイ77/1
スクンビット・ソイ77/1
マッサージ横丁として知られるスクンビット・ソイ77/1。ここにも道の両脇に屋台が並ぶ。一昨日の時点では上の写真のとおり、屋台は顕在だった。ここは車は通れない道であり、今後も撤去されることはなさそうだ。
BTSオンヌット駅下
BTSオンヌット駅下
2015年10月に撤去されたBTSオンヌット駅前のナイトマーケット「オンヌットスクエア」の跡地には今年、商業施設「センチュリー」がオープンする。現在、建設の真っ最中であり、工事現場の目の前には屋台が並んでいる。歩道にはみ出さないよう出店していた。
関連記事:オンヌットスクエアにあったタイ飯屋台の移転先を発見! | YINDEED MAGAZINE
以上、トンロー、エカマイ、プラカノン、プロンポン、オンヌットの屋台街の現状をお届けした。このエリアは、大通り沿いは禁止、それ以外は今のところ営業が認められているようである。
この1年のうちに、スクンビットエリア(ナナ、アソーク、プロンポン、トンロー、エカマイ、プラカノン、オンヌット)から大半の屋台が失われた。
スクンビットから屋台が消えていく。あと数年もすれば、スクンビットには屋台が全く無いという状況になることも十分に考えられる。
タイの魅力のひとつである屋台文化を楽しむために残された時間は、そう長くはないのかもしれない。