今年に入り、中国ではスマホアプリを使ったQRコードでの支払いが普及しているという記事をよく見るようになった。

QRコードでの決済とは、特定のスマホアプリ(WeChat Pay、AliPay)でQRコードを読み取り、送金するという仕組みで、中国では一般的な商業施設はもちろん、路上の屋台やタクシーでもQRコード決済が当たり前になっているという。

QRコード決済のメリットとしては下記が挙げられる。

  • 店側はQRコードを貼り付けておくだけでスマホの支払いが利用できる。
  • 客側はQRコードを自分のスマホで読み取るだけで支払いが終わる。

店側としてはクレカ決済端末やバーコードリーダーが不要で設備投資がかからない。むしろレジすら不要になる。

客側としては小銭や小額紙幣を用意する必要がなく、出入金の管理も楽になる。屋台やタクシーでQRコード決済が利用できるのは非常に羨ましい。

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バンコクにもQRコード決済の屋台が登場!

IC card bangkok

BTS(左)とMRT(右)のICカード

一方、タイ・バンコクにおける決済方法の現状はと言えば、BTS(スカイトレイン)とMRT(地下鉄)では、ICカードが導入されているが、共通ICカードではないため、各路線ごとに別々に購入しなければならない。また、日本のSuicaのようにコンビニやレストランなどの商業施設で利用できるわけでもなく、ほぼ乗車専用である。

2017年10月をめどにBTS、MRT、エアポートリンクで利用できる共通ICカード「Mangmoon(メンムム)」の導入が計画されているとタイ運輸省より発表されていたが、11月26日時点でまだ始まっていない。

現状、タイでの支払いは現金かクレジットカードの二択。デパートやレストランではほとんどの店がクレジットカード決済に対応しているが、ローカル向けの食堂や屋台、タクシーでは現金払い必須。1,000バーツ札で支払うとお釣りがないことが多く、常に20、100バーツ札を用意しておかなければならないのが面倒なことこの上ない。

中国のようにQRコードとまではいかなくとも、せめてICカードでの支払いが普及して欲しい…
と思っていた矢先、「バンコクにQRコードで支払いができる屋台が登場した」というニュースが飛び込んできた。

バンコクポストの記事を読むと、その屋台があるのはサムヤーン市場。
これはぜひ体験したい! ということで、昨日QRコード屋台を探しにサムヤーン市場に行ってきた。今回は実際にQRコードで支払いをしたレポートをお届けしたい。

これがQRコードで支払いができる屋台だ!

samyan market

サムヤーン市場:筆者撮影

サムヤーン市場は、チュラロンコーン大学のお膝元、ソイ・チュラロンコーン9に位置し、MRTサムヤーン(Samyan)駅から徒歩10分、BTSナショナルスタジアムからは徒歩15分ほどの距離にある。(サムヤーン市場の地図は最後に掲載)

サムヤーン市場を訪れるのは初めてだったが、観光客向けのものはなく、生鮮食品、果物、乾物、海産物などが売られるよくあるローカル向けの市場だ。

Samyan marketサムヤーン市場:筆者撮影さて、QRコード屋台はどこかな〜と、まずは外から見ていくと、早速発見!

QRcode

惣菜や饅頭を売る屋台にカシコン銀行のQRコードPOPが置かれている。写真には写ってないがサイアム商業銀行(SCB)のPOPもあった。店主に確認すると、QRコードで支払いができるという。

すべての銀行に対応しているわけではなく、カシコンならカシコン、SCBならSCBのアプリでしか支払いはできないようだ。両方の口座を持っているが、今回はカシコン銀行のアプリで決済をすることにしよう。

カシコン銀行「K PLUS」アプリのダウンロードはこちらから。

QRコードで支払いをしてみた

QRcode

饅頭ひとつ25バーツを買い、早速支払いへ。
カシコン銀行のアプリを立ち上げ、右上にあるQRコードマークをタップ。

QRcodeQRコードを読み込む。

QRcode振込先が表示されるので、念のため店主に確認してもらう。問題なければ金額(25バーツ)を入力し、Confirmをタップ。ものの数秒で振込が完了した。

店主側でもアプリで入金確認ができる。
念のため店主に確認してみる。

QRcode

――ちゃんと入金されていますか?

店主:うーん、どうかしらねぇ。まだ来てないわ。

――まだ入ってないんですね。ちょっと時間差があるんですかね?

店主:私もQRコードで支払いをされたのは初めてだからよく分からないわ。

――僕が初めてだったんですね(笑) ちゃんと入金されているか不安ですね…

店主:よく分からないけど、マイペンライよ! ガハハハハ!

マイペンライ精神万歳である。

本当に入金されているか不安ではあるが、僕の端末にはSMSで振込完了のメッセージが送られてきているので大丈夫だろう。

他にもQRコード決済に対応した店を発見!

QRcode

SCBのQRコード決済に対応

サムヤーン市場には他にも3〜4軒のお店にQRコードPOPが置かれていた。

QRcode

タニヤプラザでも発見

さらに、取材帰り立ち寄ったBTSサラデーン駅直結のタニヤプラザでもQRコードで支払いができる携帯アクセサリーショップがあった。店主に聞くと2週間ほど前から導入しているというが、まだQRコードで支払いをする人はいないという。

QRcode

道端にはカシコン銀行のQRコード決済向けの看板広告を見かけた。

実際に使ってみてQRコードでの支払いは非常に便利だった。バンコクでも小銭や小額紙幣が必要な食堂や屋台、タクシーで普及してほしいと願わずにはいられない。
欲を言えば、銀行別ではなく共通の支払いプラットフォームができて欲しいところであるが、タイには中国のように誰もがインストールする国産のコミュニケーション系アプリがない。LINEやWeChatのような外国産アプリにチャットだけでなく、決済プラットフォームまで握られるのは国としては避けたいところだろう。
タイ発の決済用アプリが開発されることはあるのか? 今後に期待したい。 

サムヤーン市場MAP