一昨日にこちらの記事でお伝えしたとおり、BTSナナ駅〜アソーク駅間のスクンビット通りの路上で営業する屋台・露店に撤去命令が下った。撤去期限は10月3日(月)。
今年に入り、プラトゥーナム市場周辺、シーロム通りなど、バンコク都内数カ所の露店・屋台に撤去命令が下ってきたが、露店店主らの反対により撤去は延期を繰り返していた。
今回のスクンビット通りの屋台に対する撤去命令も実際には延期されるのではないか? そう思ってはいたものの、10月3日を撤去期限とする露店・屋台街は、下記のとおりバンコク都内に合計5ヶ所もある。今回ばかりはバンコク都も本腰を入れて撤去を行うかもしれないという予感もあった。
10月3日を撤去期限とする5つの露店・屋台街
- スクンビット通り
- シーロム通り(夜間)
- BTSサイアム駅下
- ラチャダムリ通り(セントラルワールド前)
- プラトゥーナム市場周辺(ラチャプラロップ通り、ペッブリー通り)
どの露店・屋台街もガイドブックに掲載されるほど有名で旅行者にも人気の場所である。
本当に撤去されてしまったのか?
撤去期限の翌日となった10月4日と本日、実際に5カ所全てを訪れ、この目で確認してきた。今回はそのレポートをお届けしたい。
それでは、スクンビット通りの様子から見ていこう。
10月4日 スクンビット通り
スクンビット・ソイ11と13の間
20時半、BTSアソーク駅〜ナナ駅間の路上では営業している露店、屋台の姿は見られなかった。ソイ13の入口近くには、警察によるテントが張られ、違法屋台が営業しないよう監視をしている。
監視テント
路上、歩道での露店・屋台の営業を禁止する旨の看板
スクンビット通りを歩いていると、店舗の軒先に出店している露店があった。警察監視下にありながら、なぜ堂々と営業できるのか? 店主に話を聞いてみた。
ー なぜ路上で営業できるんですか?
店主:いや、路上じゃないよ。よく見てくれ。ちゃんと店舗の敷地内に出しているだろう。
ー 確かに。ギリギリですけどね。(笑) 軒先以外はやっぱりダメなんですか?
店主:そうだ。路上や歩道は、マイダイ・フォーエバーだ。(永久にダメという意味)
ー マ、マイダイ・フォーエバーですか… でも軒先はOKなんですね?
店主:店の軒先ならマイペンライだと聞いている。
以上。店主曰く、路上や歩道は完全にNGだが、店の軒先で歩道にはみ出していなければ問題ないということだった。
スクンビット通り沿いではなく、各ソイの中はどうなっているのか。いくつかのソイを覗いてみたが、昨夜21時の時点では屋台は見当たらなかった。
ソイ3
ソイ5
ソイ7
ソイ11
どうやらスクンビット通りのナイトマーケットは完全に撤去されてしまったようだ。
スクンビット・ソイ3〜5にかけての路上は、歓楽街ナナプラザが近いということもあり、夜間は娼婦が現れるエリアでもある。今回、これだけ警察の見張りが張り巡らされている中でも、娼婦たちの姿が消えることはなかった。“モノ”を売るのは禁止でも、“春”を売るのは問題ないということのようだ。
続いて、ラチャダムリ通りの様子を見に行ってみた。
10月4日 ラチャダムリ通り
セントラルワールド前
21時、セントラル・ワールド前のラチャダムリ通りからは、完全に露店・屋台の姿は消えていた。以前は露店が並んでいたゲイソンデパート前からもすっかり姿を消していた。
ゲイソンデパート
ラチャプラソン交差点にはスクンビット通りと同じく警察のテントが張られ、監視体制が張られていた。
セントラルワールド前に張られた監視テント
次は、BTSサイアム駅下のナイトマーケットを見てみよう。
10月4日 BTSサイアム駅高架下
BTSサイアム駅
21時半、BTSサイアム駅高架下からもすっかり露店の姿は消えていた。以前は、びっしりと露店が並び、若者を中心に大変な賑わいをみせていたが、その面影はない。
高架下に監視テント
続いては5月に撤去命令が下り、延期されていたシーロム通りを見てみよう。
10月4日 シーロム通り
BTSサラデーン駅
22時、BTSサラデーン駅からナラティワート通りにかけてのシーロム通りには、夜間のみ露店が出店していたが、きれいに撤去されていた。警察のテントがタニヤ通りの入口に張られているせいか、タニヤ通りの客引きも昨夜は大人しかった。
タニヤ通り
パッポン通りは私有地であるため、撤去命令の影響は受けない。
パッポン通りは元気に営業中コンベント通り、スリウォン通りの屋台も撤去されておらず、通常どおり営業していた。
コンベント通り
スリウォン通り
最後は、3月に撤去命令が出てから何度も延期されていたプラトゥーナム市場周辺の露店を見に行ってみよう。
10月5日 プラトゥーナム市場周辺
ペッブリー通り
14時、プラトゥーナム交差点付近のペッブリー通りとラチャプラロップ通りの路上にあった露店、屋台はすべて撤去されていた。ラチャプラロップ通りではスクンビット通りと同じく、軒先で営業している続けている露店が多く見られた。
ラチャプラロップ通り
以上、10月3日に撤去命令が下ったバンコク都内計5カ所の露店・屋台街の現状をお届けした。
ご覧のとおり今回ばかりは延期されず、すべての場所で完全に撤去が行われたようだった。当面、警察の監視下におかれるはずなので、屋台や露店が復活することはないだろう。
今回撤去された路上の屋台や露店は、警察にショバ代を払っていたとしても、税金は納めていない店が大半である。正規に店舗を借りて、営業をしているお店からすれば確かに不公平であることは間違いない。
今後、タイの屋台文化はどうなっていくのだろうか? 早朝から深夜まで、手軽に屋台で美味しい食事が食べられるのがタイの魅力のひとつでもある。
路上の屋台については賛否両論あるが、個人的には路上で屋台を営む方々も、納めるものは納め、通行の邪魔にならない場所で営業を続けてもらいたいと思っている。
今後、これらの屋台街が復活するのか? また、別の屋台街も撤去の憂き目に遭うのか? 動向を注視していきたい。