留まることを知らないタイの日本食ブーム。2014年6月時点で、タイ国内の日本食レストラン数は2,126店あり、その内バンコクは1,415店にも登る。出典:NNA ASIA

タイの日本食レストラン数は、今年6月時点で2,126店となり、前回調査(昨年4月時点)から17.7%増加した。日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)タイ国支部と日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所が共同調査を実施し、8日に発表した。
今年6月時点の日本食レストランの数は、バンコクが前回調査比14.0%増の1,415店、地方が25.8%増の711店。日本食レストランの増加率は前回調査の7.8%から拡大し、積極的な出店が続いていることが示された。主な業種でみると、日本料理が3.1%増の603店、しゃぶしゃぶ・鍋が29.6%増の315店、ラーメンが14.1%増の307店と続いたが、伸び率では牛丼・お好み焼きが87.5%、海鮮・すしが44.1%、そば・うどんが41.4%と高かった。
調査はインターネットや情報誌、電話帳、訪問などによる確認で行われた。

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日本食レストランの出店競争は激化の一途

上の数字だけ見ると、バンコクでは「犬もあるけば日本食レストランに当たる」というくらいどこにでもありそうな気がするが、現実はそうではない。
日本人居住エリアである「スクンビット(BTSアソーク駅〜エカマイ駅)」やオフィス街「シーロム」を除き、ショッピングモール以外で日本食レストランを見かけることはほとんどないと言っていい。
日本から新規出店するお店は必ずと言っていいほど、スクンビットエリアに出店する。その理由は、日本人駐在員とタイ人ハイソ層の集客が見込めるからだ。
そうして特にここ2〜3年、スクンビットエリアの日本食レストランの出店競争は過熱し、家賃や人件費は急騰した。
タイの最低賃金は月額9,000B(1B=約3.6円)だが、その金額で雇えるタイ人スタッフはほとんどいないだろう。日系飲食店では、ホールスタッフに12,000B以上支払っているところも少ないくない。残業代やチップを含めればホールスタッフでも15,000B程度は稼ぐ。
それでも日本で、日本人のみで回すよりは安上がりという計算になるかもしれないが、タイ人の仕事量は3〜4人いてようやく日本人1人分という感じだ。
もちろん、タイ人皆がその程度しか働かないという訳ではないが、人件費の安さだけに釣られてくると痛い目にあうケースが多い。最近では、人件費を抑制するためミャンマー人やカンボジア人を採用するケースも増えてきている。

もし日本人の集客は考えずタイ人のみをターゲットとするなら、スクンビットやシーロム以外にも目を向ければバンコク都心部でも日本食レストランがまったく出店していないエリアはまだまだある。過当競争を避け、ネクストスクンビットを探す動きも出てきている。
そこで今後、「バンコク都心の日本食不毛地帯を行く」というこのシリーズでは、競争は少ないが需要はありそうなエリアを紹介していきたい。

意外なオフィス街 スティサン

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第1回目の今回は、スクンビットの北側に位置するラチャダーピセーク(通称:ラチャダー)と呼ばれるエリアの中でもイチオシのMRT(地下鉄)スティサン駅周辺を紹介する。
男性諸君ならスティサンと言えば、ポセイドンのお膝元としてご存知の方も多いだろう。特に旅行者の方であればポセイドン以外には何もないところだな、という印象ではないだろうか。
だが、意外にもこのスティサン駅周辺にはオフィスビルが多く、ラチャダーの中でもサラリーマンやOLが多いエリアなのだ。

スティサン駅周辺を実際に歩いてみる

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MRTスティサン駅3番出口を出ると、目の前はラチャダーピセーク通り。

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道を挟んで斜向かいはタナチャート銀行、左へ進めばムアンタイ・インシュアランス(地場大手損害保険会社)のコンプレックスが見えてくる。このムアンタイのビル周辺に市場や食堂が集中している。

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平日12時過ぎのランチタイム、この辺りはサラリーマンやOLでごった返す。

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食事だけでなく、市場で化粧品や衣服などの買い物を楽しむOLも多く、歩道はすれ違うことも難しいほどの混雑となる。シーロムのコンベント通りやOL市場周辺の賑わいと大差はない。

実際に歩いてみた動画がこちら。

ミドル以上のタイ人が集まる

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これほどの人で溢れているのに、この辺りには日本食レストランは皆無だ。日本食どころかタイ料理以外が食べられるお店は、ムアンタイ・パトラ・コンプレックスの中にタイ人経営の寿司屋が1軒とパスタを出すカフェが1軒、少し歩いたところにベトナム料理屋が1軒あるだけだ。

寿司屋

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カフェ
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スタバもある
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タイの大企業や日系企業も入居するオフィスビルなので、ここで働くタイ人もミドル以上の層ということになる。日本に旅行へ行ったり、週末にスクンビットで日本食を楽しんだりしている層だろう。
さすがにこの周辺に空きテナントは少なく、ましてや日本食レストラン向けのテナントを見つけることは至難の技かも知れない。店舗の出店が難しければお弁当のデリバリーや屋台販売でも需要はありそうだ。

1貫10Bの寿司屋台も人気だ。
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年内にムアンタイ・パトラ・コンプレックスの横にまた新しいオフィス棟が完成する。
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ビルだけでなく建設中の高層コンドミニアムもいくつかある。
日本人をターゲットにするのはほぼ不可能なエリアだが、ミドル以上のタイ人をターゲットにした業態であれば面白いエリアではないかと思う。もちろんランチ帯以外の集客についてはよく考えなければならないが、興味のある方は一度見に来てはいかがだろうか。
最後に、すれ違うタイのOLさんたちはとても美人が多かったということを付け加えておく。

この記事が好評であれば、次回はラチャダーの他のエリアを紹介したい。

それでは、また!

明石
ラチャダーのことならYindeed