競争が激化するスクンビットエリア(BTSアソークからエカマイ間)以外で、これから日本人向けサービスの需要が高まりそうなエリアを紹介する「ネクスト・スクンビットを探せ!」シリーズ。
第1回目はエカマイの東、プラカノン駅周辺を紹介し、大きな反響をいただいた。
ネクスト・スクンビットを探せ! 第1弾 プラカノンがキテる!
シリーズというくらいなので、月に1度くらいのペースで書いていきたいと思っていたのだが、第1弾から2ヶ月以上空いてしまった。
今回第2弾としてご紹介するのは、「MRTタイカルチャーセンター駅周辺」である。
前回予告していた「オンヌット」は次回紹介したい。
タイカルチャーセンター駅ってどこ?
MRTタイカルチャーセンター駅は、MRTスクンビット駅からBang Sue(バンスー)方面へ3駅目、時間にしてわずか6〜7分ほどである。地上へ出ると目の前には、バンコクを南北へ貫くラチャダーピセーク通りが走っている。
ラチャダーピセーク通り
この辺り一帯は、いわゆる「ラチャダー(ラチャダーピセーク)」と呼ばれるエリアである。
一般的にラチャダーエリアとは、アソークからラチャダーピセーク通りを北上し、ラマ9世通り(MRTラマ9世駅)を超えた辺りから、ラップラオ通り(MRTラップラオ駅)と交差する辺りまでの範囲を指す。
新たなビジネスの中心地へと変貌
ラチャダーというと、一昔前までは「歓楽街」や「低所得者層が住むエリア」という印象で治安が良くないエリアというイメージがあった。確かに今でもバンコク有数の歓楽街であり、ソイ(小径)の奥深くに入っていくとスラムのような場所もあり、スクンビットエリアに比べて治安が良くないということは間違いない。
しかし今、そういった印象も大きく変わろうとしている。
以前から、タイカルチャーセンター駅周辺には、タイ大手通信事業会社・TRUE CORPORATIONの本社ビルである「TRUE TOWER」や、高層オフィスビル・RS TOWER、地場大手生命保険会社・Thai Life Insuranceといったオフィスビルが立ち、ラチャダー随一のオフィス街という一面も持っていた。
TRUE TOWER
RS TOWER
Thai Life Insurance
そして昨年には、高層オフィスタワー「AIAキャピタルセンター」が完成し、サトーン、スクンビットに次ぐ、新たなビジネスの中心地として存在感を高めつつある。
AIAキャピタルセンター
画像出典:http://www.aiacapitalcenter.com/eng/gallery.php
このように新たなビジネス街としての注目が集まるタイカルチャーセンター駅。そしてこのエリアのランドマークとして君臨するのが複合商業施設「Esplanade(エスプラナード)」である。
Esplanade
今、このエスプラナードに日系飲食店が続々とオープンしているのである。
それではまずは、エスプラナードに入居している日本食レストランをご紹介しよう。
遂にラチャダーに進出! 日系居酒屋最大手・しゃかりき432”
2012年7月に大阪からバンコクに進出し、アソークに第1号店を出店した居酒屋しゃかりき432”(しみず)。
翌年8月に第2号店をスクンビット・ソイ26の日本街に出店したのを皮切りに、怒涛の出店ラッシュを続け、トンロー、シーロムなど主要エリアを席巻。今年3月にはバンコク都外初となる店舗をビーチリゾートとして名高いパタヤに出店した。そして4月、第9号店をここエスプラナードに出店したのである。エスプラナード店は、しゃかりき432”としては初めてとなる完全タイローカルをターゲットとした店舗となる。
居酒屋という業態でありながらも営業時間が22時までの商業施設内、しかもタイローカル向け、という普通の商売人では出店を躊躇するのに十分な条件だが、破竹の快進撃を続ける同店ならそれらもすべて乗り越えて、多くのタイ人客を集客してくれるだろうと多くの注目が集まっている。
そして今年10月には、バンコクに次ぐタイ第2の日本人居住区として急速に成長する東部シーラチャに第10号店のオープンを控えている。
3年で10店舗の展開というと順調な事業拡大に見えるが、その裏には多大な苦労があることは想像に難くない。失敗を恐れず、飽くなき挑戦を続けるしゃかりき432”の姿に、「俺もやったるで!」と勇気づけられる在住日本人は少なくない。
タイにおける日系居酒屋のトップランナーとして走り続けるしゃかりき432”の動向から今年も目が離せない。
丸亀製麺
積極的な海外展開を続ける日本国内最大手の讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」。2012年1月にタイに1号店をオープンし、現在の店舗数は20店。海外全99店舗をの内、20店がタイとなる。エスプラナード店は昨年11月のオープン。(丸亀製麺ウェブサイトより)
進出当初、「タイ人にはうどんは受け入れられないのではないか」という意見も多く聞かれたが、今では美味しそうにうどんをすするタイ人で店は賑わっている。
大戸屋
大戸屋は2005年にタイに進出し、現在はタイ国内に45店舗を展開している。(大戸屋ウェブサイトより)
タイでの大戸屋ブランドは、タイ食品大手・ベタグロとの合弁会社ベタグロ・オオトヤが展開をしていたが、2011年に所有株全て(発行株式の45.8%)をタイ流通大手セントラルグループの外食事業会社セントラルレストラングループ(CRG)に譲渡し、CRGとフランチャイズ契約を結んだ。
詳しくは以下newsclipの記事を参照。
ということで、現在のタイの大戸屋はフランチャイズ店舗となる。
大戸屋は在住者が最もお世話になっている日本食レストランのひとつではないだろうか。
築地銀だこ
2006年にタイに進出した築地銀だこの第1号店がここエスプラナード店。現在の店舗数は3店。2号店のサイアムパラゴン店と第3号店のEmQuartier店はイートスペースがないので、僕はたこ焼きが食べたくなった時は、よくエスプラナード店を利用している。
CoCo壱番屋
2008年にここエスプラナードにタイ進出第1号店を出店したカレーチェーンのCoCo壱番屋。現在タイ国内に22店舗を展開。(CoCo壱番屋リリースより)
どの店舗も食事時は満席となるほど、タイ人に愛されている。タイに日本式カレーの美味しさを広め、定着させた功績は大きい。
すき家
日本国内最大手の牛丼チェーンすき家がタイに進出したのは2011年5月。現在10店舗を展開。(すき家ウェブサイトより)
ここエスプラナード店は第2号店となる。
8番らーめん
北陸地方では知らない人はいないらーめんチェーン・8番らーめん。実はタイ最大手のらーめんチェーンでもある。1992年にシーロムコンプレックスに第1号店を出店し、現在の店舗数はなんと110店! (8番らーめんウェブサイトより)
タイ人に最も愛されているらーめん店と言えるだろう。今日のバンコクのらーめんブームがあるのも8番らーめんという存在があったからというのは間違いない。
フジレストラン
タイ国内に92店舗を展開する日本食レストランチェーン。(フジレストランホームページより)
実は前述のCoCo壱番屋も同社グループがタイでフランチャイズ展開している。タイ人の間に日本食という文化を普及させ、現在の空前とも言える日本食ブームを巻き起こす土台を作った功績は偉大である。
今でも食事時は行列が出来るほど、不動の人気を誇っている。多くのタイ人にとって、日本食=フジレストランという存在である。
やよい軒
タイ国内に129店舗を展開する日本の定食チェーン。(やよい軒ウェブサイトより)
タイスキで有名なタイ大手外食グループのMK社がフランチャイズ展開している。MKグループの強力な店舗開発力を武器に、現在ではタイ国内最大の日本食レストランチェーンに上り詰めた。
OTOKU(お得)
昨年10月にオープンしたタイローカル資本のとんかつ店・OTOKU(お得)。タイ人にとんかつは大人気で、大手チェーンのさぼてんはいつも多くのタイ人で賑わっている。その人気を当て込んでの出店ということなのだろうが、なぜかこの店はいつも空いている。
まだ入ったことがないのだが、今度とんかつが食べたくなったときにチャレンジしてみるつもりである。
博多将軍
日本人オーナーによる博多らーめんのお店。まだ入ったことはないのだが、オーナー直々の精力的な呼び込みが印象深い。
TAN TAN居酒屋ブッフェ
タイの飲料メーカー「OISHI(おいし)」の創業者で、現在は「ICHITAN」ブランドで飲料事業を展開する名物社長・タン氏による日本食レストラン「TAN TAN居酒屋ブッフェ」。その名の通り食べ放題という業態。529バーツで寿司、鍋、サラダ、天ぷら、お好み焼き、サラダなどなどあらゆる日本料理が食べ放題というお得なブッフェある。
京ロール園(Kyo Roll En)
抹茶やマンゴーを使ったパフェやロールケーキが人気のスイーツ店。現在13店舗を展開。(京ロール園ウェブサイトより)
先月末にアップしたこちらの記事でも少し紹介したが、
タイ人も並ぶ! 最新デパートEmQuartierで日本食人気爆発中!
今や多くのショッピングモールで見かける人気店である。
クロワッサンたい焼き
EmQuartierでも連日大行列を作っている現在バンコクで大ブームの「クロワッサンたい焼き」。第1号がここエスプラナード店である。いつまでこのブームが続くのか? 注目している。
ここからは駆け足で紹介する。
サンエトワール
KALDI
焼肉 東海
WASABI
Shabushi
以上がエスプラナードに出店している日本食レストランだ。
日本食ではないが、先日下記の記事で紹介したバンコクの最新商業施設・EmQuartier(エムクオーティエ)で今、最も行列の出来る店である台湾発の巨大フライドチキン店「HOT STAR」も6月にオープン予定のようである。
なんと1時間待ち! 今バンコクで最も行列のできる巨大フライドチキンを食べてみた
HOT STAR
エスプラナードからラチャダーピセーク通りを挟んだ向かい側のラチャダー・ソイ8にも日本食レストランがある。今、多くのタイ人客を集客しているラーメン店「みさわ」である。
大阪豚骨ラーメン みさわ
2013年9月にオープンした大阪の豚骨ラーメン店「みさわ」。店舗面積はなんと1300㎡というラーメン店としてはタイ最大である。
ラーメンもさることながら、今タイ人の間で大きな話題となっているのが、サーモン解体ショー&食べ放題付きで、499バーツの日本食ブッフェ。
タイ人は日本人からすると異常とも言えるほどのサーモン好き。刺身は苦手だがサーモンだけは食べられるというタイ人も少なくない。そんなタイ人のサーモン好きに目をつけた同店のサーモン解体ショー&食べ放題という戦略が大当たり。その巨大な店舗面積を最大限に生かし、200名以上のタイ人客を集客するモンスターブッフェとなった。
ブッフェは薄利多売の業態。小さな店舗でやってもとても採算は合わない。この店舗だからこそ採れた戦略と言えるだろう。
現在、バンコクの若いタイ人の間では「サーモンならみさわ」という存在になりつつある。
出店当初のらーめん店という業態にこだわらず、ビジネスチャンスを見極め、臨機応変に手を打っていく、という同店の姿勢から学べることはとても多い。
みさわFacebookページ
https://www.facebook.com/RamenMisawaBangkok
日本食レストランの紹介はここまで。最後は、今年1月にオープンしたばかりのナイトマーケット「鉄道市場(タラート・ロットファイ)」を紹介しよう。
鉄道市場(タラート・ロットファイ・ラチャダー)
鉄道市場(タラート・ロットファイ)といえば、シーナカリンが有名であるがスクンビットエリアからでは車で1時間ほどかかる。特に週末には鉄道市場周辺は渋滞が酷く、1時間ではとてもたどり着けない。
もっと近場にあったら気軽に行けるのに、というスクンビット住人の意見を取り入れたかどうかは分からないが、今年1月にエスプラネード裏にオープンしたのが、「タラート・ロットファイ・ラチャダー」である。本家シーナカリンに比べると小規模だが、それでも十分な広さである。
食べ物から洋服、雑貨など出店している屋台の数は軽く200はあるだろう。
タラート・ロットファイ・ラチャダー
そしてタラート・ロットファイといえばアメリカンなビンテージやアンティーク雑貨店が名物であるが、ここラチャダーにももちろん出店している。
ビンテージ雑貨店
タイ人の若者には、今はこういったビンテージものがとても人気があるのだ。
スクンビットから地下鉄を利用すれば10分程度で来られるという立地の良さは、在住者にも観光客にも大きな魅力だろう。
ぜひ、バンコクに遊びに来た際は、立ち寄ってみてほしい。タイの若者のパワーを肌で感じることができるはずだ。
まとめ
実は、僕はここタイカルチャーセンター駅から徒歩10分ほどのところに住んでいるのだが、残念なことにこの辺りには、日本人駐在員向けのコンドミニアムは皆無である。
唯一とも言えるのが、エスプラナードの道を挟んで向かいにある「IVY Ratchada」と「AMANTA Ratchada」だろう。
IVY Ratchada
AMANTA Ratchada
画像出典:http://www.visitamanta.com/Gallery-jp.php
タイカルチャーセンター駅周辺には、上記の2つほどしか大型のコンドミニアムはない。
MRTで一駅南のラマ9世駅まで行けば、大型の高層コンドミニアムはたくさんあり、日本人の居住者も少なくない。
駅周辺にこれだけ日本食が豊富であれば、日本人にとっても居心地は悪くない。アソークへ7分、シーロムへも20分程度と、交通の便は非常に良い。
現地採用者や若手起業家、ロングステイヤーなど、今後日本人の居住者も増えていくだろうと予測している。
タイの大企業で働くアッパーミドル層のタイ人+若干の日本人の集客を見込めるエリアとして、タイカルチャーセンター駅周辺には注目している。
以上、長文となってしまったが、自分が住んでいる街ということもあり思い入れのあるエリアなのである。
次回の第3弾は、「オンヌット」をご紹介する。
それではまた明日!