年初から噂になっていたタイのマルチプル(数次)観光ビザ。昨日、ついにそのマルチプル観光ビザの発行がプラユット首相により認可された、とタイの英字新聞「Bangkok Post(バンコク・ポスト)」が伝えた。
マルチプル観光ビザとは、ビザの有効期間内であれば複数回(マルチプルエントリー)の入国が可能になるというもの。長期滞在中に、タイと周辺国を行ったり来たりしたいという方には最適のビザである。
残念ながら、当初予想されていた1年間有効のものではなく、6ヶ月間有効(取得費用5,000B)のものからスタートとなるようだ。
タイ政府は、より一層多くの外国人観光客をタイに呼び込み、観光収入の増収を図るため今回マルチプル観光ビザの発行を認可したということである。

【追記:9月23日】
ついに、2015年11月13日よりマルチプル観光ビザの発給が開始されることが決定した。
詳しくは、以下の記事を参照してほしい。

タイのマルチプル観光ビザ、11月13日からの発給開始が決定! | Yindeed Magazine

【10月27日追記】
マルチプルエントリーの発給開始に伴い、ダブルが廃止になるとのこと。
11月13日からタイのダブルエントリー観光ビザが廃止に!

【11月11日追記】
日本人は原則、マルチプルエントリーの申請・取得は日本のタイ大使館でしか行えないことに。
タイのマルチプル観光ビザ、日本人は原則日本でのみ取得可能に

この記事の目次


タイの観光ビザの種類

thai toursit visaタイの観光ビザ

念のため、ここで一度タイの観光ビザについておさらいしておこう。
タイに観光目的で60日以上の長期滞在をする人にとって必須となるのが観光ビザである。
※日本人はノービザ(査証免除)で30日間の滞在許可が付与される。さらに30日間の滞在延長が可能であり、最大60日間まではノービザで滞在できる。

これまでタイの観光ビザには、以下の3種類があった。

シングルエントリー:最大滞在可能日数90日間

入国日から数えて60日間滞在可能。60日間以上滞在したい場合はタイ国内のイミグレーションで30日間の延長手続が可能。
費用:90日間滞在する場合、ビザ代1,000B+滞在延長手数料1,900B=2,900B

ダブルエントリー:最大滞在可能日数180日間(60日+30日+60日+30日)

入国日から数えて90日間以上続けての滞在は出来ないため、60日間の滞在期間(延長した場合は+30日間の最大90日間)を過ぎる前に、タイ国外へ出国する必要がある。
タイへ再入国後は、また60日間の滞在期間が付与され、さらにタイ国内のイミグレーションで30日間の延長が可能。
費用:180日間滞在する場合、ビザ代2,000B+滞在延長1,900B×2回=5,800B

トリプルエントリー:最大滞在可能日数270日間(60日+30日+60日+30日+60日+30日)

ダブルエントリーの手続きに、もう一回タイへの再出入国を行うことで、60日間の滞在期間が付与され、30日間の延長が可能。
費用:270日間滞在する場合、ビザ代3,000B、滞在延長1,900B×3回=8,700B

トリプルエントリーを取得した話はほとんど聞いたことがないので、事実上はシングルとタブルでの運用となっているのではないだろうか。
ここに、今回認可されたマルチプルが加わることになる。

マルチプル観光ビザの発行は、省令が公表された後、60日以内に開始されるということである。
念のため、昨日配信されたバンコク・ポストの以下の記事を翻訳し、皆様に情報を共有したい。

Multiple visa a trade boon, say operators | Bangkok Post

(以下、翻訳)

タイのマルチプル観光ビザ認可について

bangkok post

タイ王国観光・スポーツ省と観光事業者は、政府によるマルチプルエントリー(複数回入国)ビザの6カ月間有効の承認を、より多くの観光客をタイに誘致するのに役立つ措置として歓迎した。
火曜日、プラユット・チャンオチャ首相により承認された1979年の移民法に基づく省令は、6カ月の間に観光客がタイへマルチプルエントリー(複数回入国)することを可能にするビザの取得を許可するものだ。
シングルエントリー(1回入国)ビザの取得費用が1,000Bである一方、マルチプルエントリー(複数回入国)ビザの取得費用には5,000Bとなる。
マルチプルエントリー(複数回入国)は、ロイヤル・ガゼット(タイ政府官報)で省令が公表された後、60日間で利用できるようになる。
「より多くの観光客がタイを訪問することになるマルチプル(数次)ビザは、観光事業を後押しする新たな措置になる」とコブカーン・ワッタナンクル観光・スポーツ省大臣は語った。
タイ旅行業協会会長であるチャルン・ワンアナノン氏はコブカーン大臣に同意し、「タイを度々訪れる人にも恩恵をもたらすであろう」、「6カ月という期間はある観光客にとってはまだ短いかもしれないが、良いスタートだと思う」と彼は述べた。
観光・スポーツ省は、以前からタイ政府に12カ月間のマルチプル(複数回)ビザを承認するよう提案していた経緯がある。「このマルチプル(数次)ビザの措置が、週末のバカンス先としてのタイを宣伝し、より多く観光客がタイを訪問してくれることにつながることを期待している」とコブカーン大臣は語った。

今年1〜7月までの7カ月間で、タイを訪れた外国人観光客の数は前年比30.7%増加し1,750万人となった。観光収入は30%増加し8,180億Bに上る。
2015年の観光客数の目標は2,900万人、観光収入の目標は1.4兆Bで、昨年の観光客数2.480万人と観光収入1.13兆Bからの大幅増を計画している。

次の月曜日、観光・スポーツ省は国家観光政策委員会に戦略的な観光事業開発計画を提案する予定である、と新たに任命された(観光・スポーツ省)事務次官、アリポン・プシャウム氏は語った。
計画では、国は特に地域社会のために観光収入を生み出すことに焦点を当てており、より質の高い観光客を誘致しようとしている。観光商品とサービス開発、観光事業管理、そしてマーケティングという3つの戦略から、この計画は構成されている。
「我々は全国の観光地で人々の生活の質を向上し、持続可能な観光事業開発のためにそれらをより強靭なものにしたいのです。自給自足こそ、我々の目標の鍵なのです」と、アリポン氏は語った。

(翻訳ここまで)

今年の外国人観光客数の目標は2,900万人とのこと。日本は、2020年までに2,000万人の到達を目標としているが、タイはすでにその1.5倍の規模に達しようとしているのだ。
世界有数の観光立国として、タイは東南アジアでは抜きん出ている存在。今回のマルチプル観光ビザの認可により、さらにタイへの観光に弾みが付くことを期待している。
このマルチプル観光ビザについては、続報が入り次第、また皆様にシェアさせていただきたい。

それではまた明日!