タイ深南部の分離独立を目指すマレー系イスラム武装勢力による関与の可能性は?

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パッタニー県で起きた爆弾テロ 画像出典:http://www.nationmultimedia.com

タイ在住者はご存知かと思うが、タイ深南部(パッターニー県、ヤラー県、ナラーティワート県、及びソンクラー県の4つの郡)は、タイからの分離独立を求め、マレー系イスラム教徒の武装勢力による爆弾テロや銃撃事件等の頻発している地域である。

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外務省海外渡航情報ではハジャイのあるソンクラー県と深南部と呼ばれるナラティワート県,ヤラー県,パッタニー県は、「渡航の延期をお勧めします」、「渡航の是非を検討してください」となっている。
深南部については、この動画が分かりやすくまとめられている。

2分でわかるタイ深南部

マレーシアとの国境に近いタイ深南部(パッターニー県、ヤラー県、ナラーティワート県、及びソンクラー県の4つの郡)地域は、14世紀頃にはパタニ王国として存在していた。1909年にマレー半島を植民地支配していたイギリスとタイとの交渉によってパタニ王国が南北に分断される形で国境線が確定し、タイの統治下に置かれて以来、マレー系イスラーム教徒の武装勢力がタイの支配からの解放を求めて長年戦ってきた地域である。2004年以降、紛争が再燃化、現在も爆弾事件、襲撃事件などが続いており、死者は約6,000人に及んでいる。
タイ深南部紛争の概要と背景 | ASIA PEACE BUILDING INITIATIVE

 タイ深南部では、今年も毎月のように爆弾テロが発生し、多くの死傷者が出ている。

 30カ所以上で爆発、20人超負傷 タイ深南部ヤラー市で連続爆弾テロ  2015年5月15日(金)  | newsclip

タイ深南部マレーシア国境で連続爆弾テロ、6人死亡  2015年7月13日(月)   | newsclip

タイ警察当局は、今回バンコクで発生した連続爆破テロ事件は、深南部のイスラム武装勢力とは無関係と早々に発表していたが、前述のとおり深南部ナラティワート県で、爆破テロに関与した疑いでタイ人の男が拘束された。この男と深南部のイスラム武装勢力との関係は明らかになっていないが、もし関係があったとなれば、深南部のイスラム武装勢力とトルコのイスラム過激派が連携してテロを起こしたのではという疑いは深まる。
また、タイ警察はこのテロ事件は、国際テロ組織とも無関係で個人的な理由による犯行である可能性が高いとの見解を示していたが、その見解が覆ることも考えられる。

タイ警察は29日、事件に関与した疑いで男1人を逮捕したと発表した。警察によると、逮捕された容疑者は国際テロ組織のメンバーである可能性は低く、個人的な理由による犯行である可能性が高いという。
バンコク爆発の容疑者逮捕、国際テロ組織の可能性低い | AFPBB News 8月30日(日)

 まだそれらの関係性を決めつけるのは早計ではあるが、一刻も早く犯行の動機・目的が明らかになることを期待している。引き続き、今後の捜査・報道に注目していきたい。

それではまた明日!